風冷えのある朝に
朝は、いっそう冷えてきた。
風が吹き荒れ、ひゅうひゅうと音を立てる。
木々たちは仕方なく激しく身を歪めて舞い荒れる。
その後ろに、広々と広がる青い空は朝日を浴びて繊細な明暗を作っている白雲と相まって、まるで穏やかな顔をしているようだ。
違和感が生じるはずなのに、妙に美しさを引き立たせる。
逆光から見ると、背景の色や光によって煌びやかに揺れる葉っぱたちがあまりにも綺麗で、ついつい見惚れてしまう。
しかし風が冷たく激しく暴れるので、葉っぱたちと同じところにいたら、風に従って舞う勇気もなく、ただただ身を丸めて冷たさに慄くだろうと思うと、思わずもう一度深い青空に目を向ける。
ああ、きたのだな。
すでに、私の身を包んでいるのだな。
もう、その腕の中に抱かれているのだな。
私が愛してやまない、秋が。
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