銀の森

本と音楽と映画が好きです。

銀の森

本と音楽と映画が好きです。

最近の記事

「街の上で」~切り捨てられた瞬間の輝きを抱えて~

そこで確かにあったはずの時間、もう見ることもできないし思い出す人もほとんどいないかもしれないけれど、そこで起こったはずのこと。  毎日を暮らしてくことは、そういうことの積み重ねだ。いわゆる映画やドラマになるような刺激的なものではないかもしれないが、飲み会でのふとした会話、初めてできた彼女と初めてセックスをしようとして失敗した時のこと、バイト先のカフェで出会ったお客さんを漫画の聖地巡礼に案内した時のこと、立ち寄ったライブハウスで知らない女性に煙草をもらったこと…… 退屈な日

    • 映画「椿の庭」感想・思い出の宿る場所

      ※ネタバレを含むので、映画鑑賞済みの方向けです※  いままで忘れていて、そんなことがあったこと自体も覚えていなかったような過去の出来事をふいに思い出すということは、誰にでも経験があることだと思う。ふと耳に届いた音楽だったり、たまたま読んだ小説の一説だったり、紅茶に浸したマドレーヌだったり、そんな些細なきっかけが、引き出しの奥にしまわれたものを目の前に映し出す。そのたびに、思い出というのは一体どこに宿っているのだろうと考える。   「椿の庭」をみて、そんなことを思った。 ス

    「街の上で」~切り捨てられた瞬間の輝きを抱えて~