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noters [two] 文芸評論家 松田重純とnoteの美しい関係

<松田重純(しげずみ)noteを触り始める>


最近、匠書堂の編集長の山崎君がnoteを始めたらしい。
「なかなかまったりと出来るし、楽しいですよ。
松田先生もやりませんか」
などと言うものだから私もやってみることにした。


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普段の私は、新聞や雑誌への文芸批評の寄稿、文芸雑誌における著名作家のインタビュー記事執筆、文芸評論の座談会などの仕事をしている。
だが、ここはnoteであるから、雑誌と同じことをしても読者はついては来ないだろう。
文芸雑誌の読者とは違って、もっと軽くたわいもないことを書くのがSNSの正しい使い方だ。

私はnoteに本名の松田重純のまま登録した。
肩書きも「文芸評論家」とそのままだ。
こうしておけば、「あ、あの評論家もnoteやってるのか」ということで読者にも親切だ。


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早速、山崎君のnoteを探してみた。

「匠書堂」「山崎」で探すと、すぐに彼のページが見つかった。
肩書きは「匠書堂編集長」。

そのまんまだな。

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匠書堂山崎
出版社勤務。月刊〇〇文芸(匠書堂)編集長
6フォロー 314フォロワー


確か先月からnoteを始めたばかりの彼だが、フォロワー数がもう300を超え、記事にはどれも100以上のスキをもらっていた。
「小説の書き方」「プロットの作り方」「企画書を出版社に持ち込みたい場合の注意点」など、非常に具体的な記事内容で、なかなか盛況だな。

そのくせ、彼がフォローする数は、
出版関係者5人とnoteの公式ページの合計6だけ。

なるほど、プロならばそういうスタンスもいいだろう。

山崎君め。
多少記事内容で読者に媚びているような部分もあるが、現代の文学青年たちになかなかうまくアプローチしているといえよう。
頑張ってくれたまえ。


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私もまずは自分の記事を用意しよう。
誰かのフォローをするのも、山崎君のところへの挨拶もそれからだ。



* * *



<文芸評論家 松田重純note初投稿>


さて、記念すべきnote最初の記事は、プロフィールだ。
noteは意外と使いやすい。

画像を入れるのも簡単だから執筆に集中したい私にとって余計な手間がかからないことも助かる。
せっかくなので、最近の著書に使用した著者近影写真を入れてみた。


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簡単なプロフィールにするつもりだったが、
過去の仕事を説明していると結構なボリュームになった。

それでもプロフィールだけでは物足りないので、
早速簡単な評論を5000字程度で。

「近年の芥川賞受賞作品についての傾向とその背後に見る社会情勢について」である。あまり固くなりすぎないように、かといって私のウリである筆致の鋭さだけは譲れない。
なかなか簡潔でシャープで挑戦的な小品にまとまったと自負している。

私のファンなど、いつもと違う簡潔さに驚くかもしれないな。
ははは。


気づけば、深夜の2時だ。
まだ誰も私の投稿に気づかないだろう。

そろそろ眠ろうか。
起床した時の記事への反響を見るのが楽しみだ。
やはりこういう楽しさは、書籍では味わえない。
読者の感想をすぐに直接目にすることができる、それもこのnoteの醍醐味なのである。

さあ、私は眠ることにしよう。


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* * *



<文芸評論家松田重純 noteが気になって眠れない>


午前5時すぎに目が覚めてしまった。
投稿してからまだ3時間ほどしか経っていないが、私の記事の反響を確認してみた。

おやおやもう何か反応があったようだ。
もう私が見つけられたのか、参ったな。
はっはっは。

早速、私の記事のファンが現れたようだ。


いや・・・違ったか。


「noteのID登録完了です」
「noteのプロフィール設定完了です」
「noteのプロフィール記事設定完了です」
「記念すべき初投稿の完了です」


何の通知かと思えば、
すべてnoteからのお知らせだった。


まだ時間が早すぎるのだ。
私のファンならともかく、こんな早朝から
私の評論など読む人などおるまい。
もうひと眠りしよう。



* * *



<文芸評論家松田重純のnoteにまだ反応がない>


結局あれからnoteが気になり、
ロクに眠れぬまま朝7時に起床した。

実は、noteの通知機能の調子が悪い。
私の記事に読者からの反応があった場合はメール通知が来るはずなのに、一向に通知されないのだ。

もしや、セッティングを間違えたか。

いや、noteのせいでもセッティングのせいでもない。
まだ誰も私の記事に反応していない様子だ。
そうか、noteユーザーというのは若者が多いに違いない。
彼らは早起きしないのだ。

朝はギリギリまで眠って、起きたら大急ぎで学校や勤務先に向かうものだ。おそらく、平日の今日は通勤通学途中の若い世代が電車の中で私の記事を読むことになるはず。

何を焦っているのだ、私は。
ははは。
これからじゃないか。




 * * *



<文芸評論家松田重純のnoteにまだまだ反応がない>


昼になった。
再度noteをチェックした。
いや、再度どころじゃない。
実は朝の7時から30分おきのようにnoteの
私の記事への反応をチェックしているのだが。

全く何の反応もない。
これは何かおかしい。
noteの本体で何かトラブル発生か。

私の記事はちゃんと投稿されたことになっているだろうか。
何かの誤作動で他のnoteのユーザーに認識されていない可能性があるのでは?
誰もまだ「文芸評論家松田重純」の名前に気づいていないなどあり得ない。


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あ、そうだ!

山崎君のページを確認してみた。

今朝アップしたばかりの新しい記事に、
すでにスキの数は40付いていた。

一体どういうわけだ。

山崎君でさえ40のスキをもらっているのに、私は0なのである。



* * *



<文芸評論家松田重純のnoteにまだまだまだ反応がない>


山崎君の記事のスキは順調に伸びている。
午後3時の時点でもう70に迫る勢いだ。

なぜ私の記事にだけ誰も反応しない?


noteに失望している。

すこしは意識の高い読者もいるかと思ったが、どうやら所詮noteもSNSか。こんなにもリテラシーの低い輩が溜まっている場所だったのか。
日本の文学、文芸は終わったんじゃないのか。

そうだ。
山崎君は何をしている?
私にnoteを始めろと煽り、私が乗り気だったことは知っているはずだ。

ならば、
「そろそろ松田先生、note始めたかな」
くらい考えて私の記事を探し当ててくれても良さそうなものじゃないか。
全く気が利かない。

山崎め。



* * *



<文芸評論家松田重純noteへの不安>


信じられないことだが、記事を投稿しても丸1日誰にも反応されなかった。
やはり、他のnote利用者たちに私の記事やプロフィールが見えていないのだと思う。これはnoteに抗議しなくてはならない。

一応私がnoteを始めたことを、それとなくLineででも山崎君に伝えてみようか。

いや、私から動くのはやはり避けたい。
スキもフォロワーも全くない状態で、
山崎君の前に私のnoteをさらすわけにはいかない。

スキの物乞いのようで格好悪い。

私が山崎君に媚びる必要など一切ないのだ。
ただ、彼に私のアカウントの存在を知られる前に、せめて20~30のスキと、10人程度のフォロワーでもいないと格好がつかない。

この私がこのままでは、

とても恥ずかしいではないか。



* * *



<文芸評論家松田重純がnoteでもらった最初のスキ>


もう、我慢の限界である。
何かの設定がおかしいに違いない。
丸2日。
丸2日全く誰からも反応がない。
これは異常である。

運営に連絡を取ろう。
全く迷惑な話だ。

おかげで私はnoteのことばかり考えて、
他の仕事に手が付かない。


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noteには運営にメッセージを送る機能もあるらしいから抗議しよう。
私のアカウントだけ機能していないなど、全くバカにしている。
ここは、断固として抗議しなくてはならない。

わかっている。
私も名のある大人の評論家だ。
ただ怒りにまかせて文句を言うのは見苦しい。
コーヒーでも飲んで、少し気持ちを落ち着けよう。

ふう。

ブルーマウンテンのよい香りだ。

もう一度noteを開いて、
問題を再確認してみよう。


ん?


なんだこれは?

私のアカウントに通知がある。

通知がある!


「けろんぱさんが『芥川賞作品の傾向と日本の社会情勢についての考察』にスキしました」

「けろんぱさんが文芸評論家松田重純プロフィールにスキしました」

「けろんぱさんが文芸評論家松田重純プロフィールにコメントしました」


うおおおおお!
来た!


スキとコメント両方が入っているではないか。


はじめまして、けろんぱと申します。同じ日にnote始めたみたいで、お仲間気分で記事を読んだんですけど、なんかすごいですね。
こんなマジメな記事を書く人いるんだ、と感心しました。
松田さんのプロフは私の理解を越えてスゴいですー! 
もしかして、プロの作家さん? 
松田さんの記事が理解できるように、沢山本を読んで勉強しようと思いました。がんばってお互いnote続けましょうねー。


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なんだ、こいつは。
プロフィールを読んでもまだ私が誰かわかっていないのか。
なんか頭も悪そうだ。
そもそもこのけろんぱ野郎、男か女かもわからん。

ふーん、プロフィールによれば、
けろんぱはイラストレーターか。

やたらと美少女の絵ばかり描いているな。
私の趣味の絵ではないが、下手な絵でもなさそうだ。
もうフォロワーが5人いるんだな。

けろんぱめ。

自己紹介文は「美少女イラストが好きです」だと。
お前、それだけじゃわからんだろう。
プロフィール記事もちゃんと書け。

けろんぱめ。

ははは。


けろんぱにスキくらいは返すべきか。
noteの世界の私の読者も大切にするべきではある。
ま、けろんぱを私の読者と呼んでいいのかわからないが。

それでも最初に私の記事へアクションしてくれたのが、このけろんぱというふざけたヤツなのだ。
ここはスキを押してやろうではないか。
いや、それだけじゃなくひと言コメントしておくか。仕方ない。

この、けろんぱめ。

けろんぱめ。

ふふふ。


あなたが最初のスキとコメントをくれた人だ。ありがとう。柄にもなく、とても嬉しかったんだ。美少女イラスト、とても上手だ。頑張ってください。




* * *




<文芸評論家松田重純がある日、匠書堂編集長山崎からもらったメッセージ>


松田先生。先生のnoteの書評講座、noteの外でも結構な人気ですね。
文章は平易なのにとてもロジカルで、わかりやすいって若い人にも評判ですよ。書籍を女の子に見立てて褒めるところを褒め、批判するときは相手の気持ちを考えながらさりげなく自分の意見を伝える、だなんて。
ソフトなアプローチに先生は新境地を見出したわけですね。
いつも登場する美少女のイラストも文章にぴったりで素敵だし。
やっぱりさすが松田先生です。noteのフォロワーももうすぐ400人到達ですね。ぜひまたうちで本出しませんか。



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<久保マシン&明石白 共同作品>
絵/キャラクター/ヘッダー画像:久保マシン(Y)
作:明石 白
*共同・協力作品のため、久保マシンさんのnoteと明石白のnoteには同じものを載せています。

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