見出し画像

次作る曲に「新しい組み合わせ」なるものを生み出すための妄想マニュアル

前提として、俺の考える「オリジナリティ」とは、世界に既に存在してた表現、あるいはまだ見つかっていなかった発想を上手く組み合わせてから「新作」の札をつけて売り出すことであり、[0から100を]ではなく[10×10を100に]するイメージだ。

よって独創性豊かな楽曲を作りたければ、天から我々の脳に新たな着想が降りてくるよう祈るよりも、Spotifyを開いてお気に入りの曲の良い所を分析して自分の曲に組み込んでいく方がいい。

しかし、いくら「名曲からいいとこ取りをすればいい」と言ったところでそう簡単にはいかない。憧れのあの曲のようなあの曲とは違う曲を作りたいというのは多くのコンポーザーが抱く理想だが、プレイリストの楽曲達から素晴らしい要素を箇条書きで引っ張ってきて繋げようとしても下手なコラージュのようになってしまって、名曲を構成するピースが噛み合わないといった経験は誰しもあると思う。

名曲からいいとこ取りをして自分のオリジナリティを形作っていくというのは、やり方としてかなり良い線行ってると思う。それを試してみても上手くいっていないのであれば、もしかしたら少し考え方を変えてやればいいのかもしれない。

今回のnoteはかなり感覚的というか、各自の想像力に委ねるような内容になるので人によっては「なんのこっちゃい」となるかもしれないが、最後まで読んでしっくりこなかったらそれはもう時間の無駄だったと諦めて欲しい。この記事は考える楽しみに浸れる人というか、ちょっとでも妄想癖のある人ならピンときてもらえると思う。
ちょっと認識を変えるだけで、新しい組み合わせを考えるのが止まらなくなる妄想マニュアルを書いていく。

①:自分の好きなアーティストを1つ思い浮かべる

まず手始めに、本当に誰でも良いからあなたの好きなアーティストを1人思い浮かべて見て欲しい。

あなたが学生の頃から夢中になっているアーティストでもいいし、最近発掘して気になってるインディーズでもいい。とにかく「この音楽はココにしかない」「すごく個性的だ」と思えるものを1つ思い浮かべよう。

とりあえず今回の記事では、電子音楽で1番名前が伝わる気がしている「エイフェックス・ツイン」で話を進めていく。

(知らない人のために↓)


②:①とは別の方向性、または違うジャンルで良いと思ってるアーティストを1つ思い浮かべる

ここでもまた1人アーティストを思い浮かべてもらうことになるが、今度は①で思い浮かべたものとは別の方向性の音楽を作っていたり、違うジャンルで活動しているアーティストを考えるのがいい。

ここでは②としては、日本の3ピース轟音バンド「凛として時雨」を挙げておく。



《ポイント》③:①がもし②に影響を受けていたとしたら? ①が②をリスペクトしたアルバムを作るとしたら?と空想する。

凛として時雨は実績のあるアーティストだし海外の音楽好きを唸らせるだけの説得力ある音楽を作っているが、この邦楽バンドをRichard(Aphex Tiwinの本名)が知っているかはわからない。自分の知る限りでは彼がインタビュー等でそのバンド名前を出したことはなかった。

でも頭の中でなら場所や時空、現実問題の制約を超える事ができる。エイフェックスツインが凛として時雨に影響を受けたという世界線の音楽を妄想することができるのだ。

「エイフェックスツインが凛として時雨の『just A moment』を2000年頃に聴いてむっちゃ感化されていたとしたら?」

「彼のスタジオのアナログシンセで作られた、時雨要素を取り入れたアルバムは一体どんな音が鳴る?」

これが普通の「いいとこ取り」を考えようとすることと違うところは、そのイメージの具体性にある。好きな楽曲の良いところを書き出したりして分析したことのある熱心な人なら知っての通り、名曲の要素の「直輸入」ではパーツの自己主張が激しいためそのまんま過ぎるとパクリだとバレるし、バレないように変えようとするとダサくなってしまいがちだ。

「①が②に影響を受けて、①の個性を保って作った②っぽい音楽」という妄想ならば、①の良いところと②の良いところが絶妙にフュージョンされて頭の中に展開してくれる。そこで「ビビビッ!」とシナプスが繋がるような発想が浮かび上がったら、その感覚を自分の曲に持って帰ればいい。


④:逆パターンを考えたり、対象を変えていったりしてもっといろんな妄想を楽しむ。

③の妄想で一通り楽しんだら、逆パターンも考えてみよう。

さらに慣れてきたら、レシピ中で《好きなアーティスト》として思い浮かべた部分を《ジャンル》《楽器》《機材》《ある音楽理論》などより細かい/大きい要素に差し替えてやると、空想の幅がさらに広がりを持つ。

「もしもジミ・ヘンドリックスがファズ・エフェクターと同じぐらい、MassiveやSylenth1みたいな現代のソフトシンセにのめり込んでいたら?」

「米津玄師がUndertaleをプレイした後にアルバムを作ったら?」

……なんかワクワクしてこない?これまで挙げたどれ1組とっても、たぶんそんな無茶苦茶な思考実験したことある人この世にいないし、いたとしてもそれをインスピレーションのダシにして曲作ろうって手を動かした人もいなかったと思う。その着想が実際に曲としてガッチリ完成させられるかは分からないけど、この考え方は面白い組み合わせを生み出すのに絶対に役に立つと思う。

好きなものと好きなものを頭の中で相互交流させる妄想にハマって、あなたはあなただけの掛け算を頭の中で楽しんでほしい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?