見出し画像

自作キーボード:基板設計に興味が出た時に読む記事


はじめに

この記事は、基板設計に興味があるけれど、「どうすれば始められるのか」をまとめた記事になります。
詳細な設計知識は省いていますが、一連の流れを把握することで、最初のとっかかりになると思います。何かの参考になれば幸いです。

私について

今ではキーボード基板設計ができていますが、私も最初は全くの初心者でした。
しかし、自作キーボードの世界は、先駆者の方々によって土台がしっかり築かれているため、知識がなくても興味さえあれば、意外と簡単に基板設計を始めることができます。

  • 電子工作の知識なし

  • はんだ付け経験なし

  • ペイントソフトの知識なし

  • CADソフトの知識なし

  • 基板設計ソフトの知識なし

  • 自作キーボードの知識なし

基板設計に必要なもの

  • 基板設計について書かれた本

  • KiCad(フリーソフト)

  • ちょっとのやる気

  • ちょっとのお金

大まかな流れ

  • 本を購入する

  • Keyboard Layout Editorでキー配列を作る

  • 基板を設計する

  • 基板を発注する

  • 必要な部品を購入する

  • ファームウェアを作成する

  • 組み立てる

本を購入する

インターネットで検索すれば、様々な情報が手に入りますが、知識がない状態では情報の取捨選択が難しく、かえって混乱してしまうこともあります。
なので、正しい知識を効率的に習得したい方には、本の購入をおすすめします。

基板設計の基礎から、発注方法、ファームウェアの作成まで、網羅的に解説されている下記がオススメです。

Keyboard Layout Editorでキー配列を作る

まずはキー配列作りから始めます。
Keyboard Layout Editorは、直感的な操作でキー配列をデザインできる反面、慣れるまでは少し操作に癖があるかもしれません。しかし、ファームウェアの作成にも必要となるツールなので、操作には慣れておきましょう。

基板を設計する

Keyboard Layout Editorで理想のキー配列が完成したら、いよいよ基板設計に取り組んでいきましょう。具体的な手順は以下の通りです。

  1. KiCadをインストールする

  2. キーボードの回路図を作成する
    シンボルを配置して、ルール通りに配線を行います。

  3. 回路図を基に、基板のパターンを設計する
    フットプリントを配置して、ルール通りに配線を行います。

  4. 設計に問題がないか、DRC(Design Rule Check)機能を使って確認する

  5. 問題なければ、ガーバーファイルを書き出す

  6. 完成

KiCadにはDRCという機能があり、設計に問題がないかをある程度確認できますので、初心者の方でも安心して作業を進めることができます(ねじ用の穴が空いてないとかそういったものは確認できないので注意)。

基板を発注する

基板設計が完了し、データの書き出しまで終わったら、いよいよ発注です。
発注先は中国になりますが、Webサイトが日本語対応している基板製造業者もありますので、英語に不安がある方は、日本語対応の業者を選ぶのも良いと思います。

具体的な発注方法は以下の通りです。

  1. 基板製造業者を選ぶ

  2. データをアップロードする

  3. 基板の色などを決める

  4. 見積もり金額を確認する
    データをアップロードした時点で自動的に見積もられます。

  5. 支払いを行う(PayPalが一般的)

  6. 基板を受け取る

下記のJLCPCBでトッププレートを発注する場合、穴の数が多いと「手間がかかるので追加料金を貰うね」という英語のメールが届くことがあります。メールは日本語ではないため、苦手な方は翻訳ツールを使って対応する必要があります。とはいえ、Webサイト上でボタンを押せば追加で支払いが行えるため、メールで細かい対応をする必要はありませんので、安心してください。

日本語対応業者の例

基板の納期は、業者によって異なりますが、一般的には1~2週間程度です。基板が届いたら、設計通りに作られていることを確認しましょう。
中国への基板発注は、最初は少しハードルが高いかもしれませんが、慣れてしまえばそれほど難しくありません。

必要な部品を購入する

基板が届くまで時間がありますので、キーボードの組み立てに必要な部品を購入しておきましょう。国内で有名なのは下記の2店舗でしょうか。

ファームウェアを作成する

部品の購入が終わっても、まだ時間を持て余していると思いますので、ファームウェアの作成も行いましょう。基本的なファームウェアであれば、過去に私が書いた記事を参考に作成することができると思います、ぜひ参考にしてみてください。

2つ目のリンクのVialとは、キーカスタマイズが行えるアプリまたはWebアプリケーションです。ファームウェアをVial対応しておくと、気軽にキーカスタマイズが行えるようになるのでおすすめです。

組み立てる

基板が手元に届いたら、部品のはんだ付けを行い、ファームウェアを入れれば完成です。

おわりに

基板設計から完成までの流れを簡単に書いてみましたが、想像よりも簡単でしたか? それとも難しそうでしたでしょうか?
私も知識のない状態から始めましたが、少しのやる気さえあれば、キーボードの基板設計は行えますので、ぜひ、世界に一つだけの理想のキーボードを作ってみてください。
また、KiCadやQMKファームウェア、Vialなどの情報は日々更新されています。最新の情報は、公式サイトで確認することをおすすめします。

2024年5月現在、トラックボールやトラックパッド搭載キーボードの設計方法は書籍化されていませんので、必要な情報は自力で集める必要があります。私も知らないので、どなたかブログや本にして頂ける嬉しいです。

最後に、基板設計とは関係ないのですが、分割キーボードをつなげるTRRSケーブルは、PCとキーボードがつながっている状態で抜き差しすると、最悪キーボードが壊れるので絶対にやめましょう。

この記事はAkashaで書きました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?