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『2』が嫌いな話【MTG】

(※本記事は『スタンダード』や『モダン』などの1対1の構築デッキ戦を前提とした内容となっています)

MTGはルール上、一部の例外を除いて同名カードは通常4枚までデッキ内に入れることが出来る。
そこでプレイヤー達はデッキ構築において、再現性を高めるべく下限枚数である60枚になるように枚数を調整しつつ、更に対策やサブプラン、またはメインの中に入りきらなかったパーツを15枚のサイドボードに盛り込み計75枚とするのが一般的だ。
しかしこのデッキ構築において、(特にサイドボードで)なんとなくで2枚だけ入ることが多いと感じることはないだろうか。
私は最近はデッキを構築する際にこの2枚挿しを嫌い、というよりは避けようと意識している。
今まで引きすぎたくないといった漠然とした理由で2枚挿しを選んでいたので、あえてこれを避けようとすると自然に言語化が求まられ構築にいつもより苦労したことが何度もあった。

では何故この2枚挿しが浸透してしまっているのか考えていきたい。
(※なお、今回確率論の話は意図的に避けている。あくまで感覚的に2枚を選択してしまっていることに対しての内容であるためだからだ)


①1枚じゃ心許ないから

割とこの考えの人は多くいるのではないだろうか。少なくとも私はシルバーバレット運用でもない限りゲーム中で引ける訳がないと半ば決めつけているような節がある。
よっぽどマナコストが大きいものや汎用性に欠けるものでなければ、重ね引きが許容出来ないカードも無いように思える。
またサイドボードでも、折角のメタカードが1枚採用では引けなかったことを悔いても採用枚数に疑問を持たなかった構築段階でのミスと咎められても仕方ないのではないだろうか。
そういった、ある種後ろめたさのような思考が染みついて2枚採用となってしまう。

②対策カード=2という固定観念

①の内容と重複する部分もあるが、例えば劇的なある対策カードをサイドボードに割く場合の枠は2枚が多いと思う。例として《安らかなる眠り》はパイオニア、モダン、レガシーそれぞれで2枚挿ししているリストが多くある。

最強墓地対策

テキストだけ読めば1枚設置出来れば十分であり、むしろ2枚目以降の役割は皆無であり全く引きたくない。
それでも2枚としているのは、引くことが出来ればそれだけ致命的になりうるカード(=引けなければ相当な不利を背負う)だからである。
1枚では引けないまま終わりかねない。しかし3枚以上では重ねて引いてしまった場合のリスクやサイドインしたことによるデッキバランスの破綻の可能性が高まる。
そういった致命的だからこそ、こちらのデッキも伴うリスクを忌避した結果、2枚が妥当な立ち位置にいるという思考に辿り着くのではないだろうか。

ちなみに攻撃的に使用出来る、または攻守一体であるカードである(所謂汎用性の高いメタカード)は多めに採用されることが多い
一方で、今回の《安らかなる眠り》のような守備的、後ろ向きであるカードは2枚に落ち着くことが多い。何故ならこれだけでは勝つことが出来ないからである。

そういった理由が絡んだ思考の先にはいつも『2』がいる。そして私達はその数字に甘えてしまうのだ。


③2:2のバランス

サイド戦となった際、基本的にはサイドボードから入れる枚数分だけメインボードからも抜いてボード間を入れ替えた形で新たな60枚にして対戦するのが主。
ではサイドボードから入れる枚数に対しては、バランス良く抜ける枚数にして構築しておく方がサイド後にデッキがちぐはぐにならずに済むというもの。
そこにもバランスよく当てはまるのが『2』である。
決してこのパターンが当てはまるという訳ではないものの、2枚に対して2枚を入れ替えることはとても実行しやすい。
たまたま1枚引ければ活躍してくれそうなという”無難”な採用理由で入っているカードほどサイド戦で抜くことは容易い。
それを抜いたことでデッキとしてのコンセプトは保たれたまま相手のプランを咎められるサイドカードを組み込むことが出来るのであれば、それこそが合理的なサイドボーディングとなるのだから。

本題が①②の理由から2枚挿しとしている理由の後押し(とどめ)となり、さも美しいバランスで成り立った『2』にまみれたデッキが出来上がるのだ。


さて、ここまであえて語気を強めた書き方をしたが、結論的にはこの『2』を否定したいという訳ではない。
なんとなくで採用してしまっていないか、本当に正しい採用枚数と言えるのかを再度検討してみて欲しいということがこの記事で最も伝えたい言葉だ。
そのためもちろん2以外の数値(1~4)も当てはまる。ただ最も無難に扱われることが多いのがこの『2』という数字なのだ。

私はこの『2』を避けることから始めた言語化でデッキとしての質を上げられたと感じている。

例として当時入賞したモダンのデッキを挙げる。

例えば《通りの悪霊》は同アーキタイプでは必ずといっていいほど4枚採用されているが私は3枚採用としている。それは言語化に当たって、以下の疑問を持つことが出来たからだ。

・《アスモ》キャストを支える為だけの運用
・探査などの墓地枚数を増やす必要性がない
・除去コントロールのようなデッキなのにライフを切り詰める程のリターンは?

そうして《通りの悪霊》がこのデッキに対してどれだけの価値があるかを思案した結果、

・《破滅の終焉》からも《アスモ》は着地が可能であり、2枚目以降は獲得した《地獄料理書》でキャストが可能である。
・《通りの悪霊》はディスアドバンテージを手札からライフに置き換えたものであり、1T《アスモ》を狙うことでのリターンも大きくない。

上記から素引きした《地獄料理書》などでも十分代用可能であることから、1枚の空き枠を獲得することが出来た。入賞リストのコピーだけでは見えなかった視点を得られたこの発見は大きく、これから構築が大きく変わらない限りは私は《通りの悪霊》は3枚採用理論に自信を持っている。

語りたい点は多くあるが、これ以上は長くなり過ぎてしまうし本題とはあまり関係性が無いため私の構築の話は以上とさせていただくが、デッキの限られたスロットの中に自分なりの最大価値を見つけてほしい。

1枚1枚の採用理由を明確に出来た時、初めてそのデッキの使い手だと言えると私は思う。

この記事を最後まで読んでくれた方達も是非デッキを見直してみて採用枚数に今一度疑問を持ってみて欲しい。
そして言語化に努めてみて欲しい。仮に結果が的外れな考え方であったとしても、そこに至るまでの思考の過程は今後の構築の考え方の指針として何一つ無駄にならない。
言語化の意識の先にデッキのレベルは一段階上がると私は信じている。

みんなも始めてみよう、アンチ2枚。

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