ベースの左手のフォーム2

 前回に続き、エレクトリック・ベースを弾く際の左手のフォームについて書いてみました。早速始めまーす。

・ 前回のおさらいを踏まえて

 前回のnoteで書いたことですが、指板上で弦を押さえるにあたって重要な点は、“弦を押さえる位置はフレットのすぐ脇か真上で、弦を押さえるのは指の腹で、弦には指板の真上から力を加える”ことでした。これを踏まえつつ、最も楽に演奏できて、機能性が高いと思われるフォームは……ずばり、握りこみフォームです(笑)。そんなのフォームじゃないよ、と侮ることなかれ。筆者のレッスンで最初にお伝えする左手のフォームは握りこみフォームです。だってこれでほぼ8割の楽曲は弾けてしまうんですから。まあ、8割ってのは適当ですけど(笑)、改めて注意点などを確認しておきましょう。

・ 握りこみフォーム

 握りこみフォームとは、ネックの上側に親指を掛けて文字通りネックを握って弦を押さえるフォームです。楽な姿勢で、上記の諸注意を踏まえてさえいれば、特に守らなければいけないスタイル(型)や、弦を押さえるべき指の指定などはありません。理由は後述しますが筆者の場合は薬指で弦を押さえることが多いです。

・ 握りこみフォームのメリット

 握りこみフォームのメリットは何といっても演奏するのが楽なことです。無理のない姿勢で力を使うこともなく、確実に弦を押さえることができるので、コード変化が少なくルート弾きがメインの楽曲であればこのフォームにしない理由がありません。

 ところでベースというパートは単音弾きがメインですが、弾いていない弦(余弦と言います)が勝手に鳴らないように処理することは非常に重要なタスクです。“余弦のミュート”は重要な項目ですので別の機会に改めて書きますが、初心者の方にとっては盲点なはず。せっかく華麗に動きのあるフレーズを弾いても余弦が鳴っていると台無しです。録音したベースラインがどうも濁ってるなと思って単独で聴いてみると余弦が鳴ってるってこと、結構ありがちです。

 ところが握りこみフォームであれば意識せずともほぼ自動的に余弦のミュートができてしまうはずです。これは握りこみフォームの最大のメリットでもあり、初心者の方にもオススメする理由です。だからこそ、握りこみフォームであれば人差し指で弦を押さえるのはあまり得策ではないと思います。薬指で弦を押さえれば人差し指、中指全体を弦に触れさせることができるので、どの弦を弾く場面でも無意識に余弦のミュートができるでしょう。逆に人差し指で弦を押さえてしまうと意識的に余弦のミュートをする必要性が出るのではないかと思います。

・ 握りこみフォームのデメリット

 握りこみフォームのデメリットは動きのあるフレーズに対しては必ずポジション移動で対応しなければいけないことですね。不要な音切れをさせないためには素早くポジション移動するか、スライドやグリスなどのニュアンスを伴ったフレーズに仕上げるしかありません。動きのあるフレーズは4指を使ったフィンガリングに比べて明らかに不利ではありますが、熟練度次第ではかなりのフレーズにも対応できるようになるでしょう。

 また、握りこみフォームでは油断しているとピッチがシャープ(音程が上がる)しがちです。これは、指先に腕の重さがぶら下がったり、手を握る動作の延長で指先が自然に弦を引き下げたりしてしまうからだと思われます。姿勢的には楽な握りこみフォームですが、あくまでも指先は弦の真上から力を掛けて押さえることを意識しましょう。これも鏡で自分のフォームを確認すると一目瞭然ですので是非チェックしてみてください。

・ まとめ

 今回はちょっと短いですが、キリが良いのでここまで。となると当然、次回は4指4フレットのフィンガリング・フォーム……かな?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?