見出し画像

未聴アルバム開拓#02 "THE TRAVELING LIFE" by小山田壮平

!前置き!
まだ聴いたことのない音楽アルバムの感想をつらつら書くだけ。
吹奏楽部、軽音部、合唱部などの部活、習い事も全く経験なし。
音楽を聴くことは好きだけど、音楽を学んだことはない素人の文章です。


THE TRAVELING LIFE/小山田壮平 1stアルバム(2020.08.26発売)

今回この作品で初めて小山田壮平さんの楽曲を聴きました。
聴くきっかけは前回と同じ「みのミュージック」さんの動画からです。
もともとandymoriというバンドをやられていて、現在もALというバンドで活動中の小山田さん。長い音楽キャリアを持ちつつも、初めてソロで制作されたのがこちらのアルバムなんですね。
ティザー動画のコメント欄を見ると、ライブで披露されてきた楽曲がやっと音源化されたという事らしいので、まさにファン待望の1枚と言えるでしょう。


1.HIGH WAY

優しく耳にすっと入ってくる小山田さんの歌声。素朴で少年のような声質をされてますね。
この楽曲を聴いて浮かんだのは周りに何にもないまっさらな土地に、ただ道がまっすぐに引かれていてその道を少しぼろいバンで走っている光景。
どこに向かって進んでいるのかはわからないけど、何かに迷う時間より前に進む方が吉。ゆるりと背中を押すような詞が素敵ですね。
音数は多くないけど、このメッセージを届けるには最適な温かくてまぁるいカントリーなバンドサウンドが心地よいです。


2.旅に出るならどこまでも

先ほどの素朴な雰囲気から一転、少しざらついたベースの音から始まる大人な楽曲。HIGH WAYが朗らかな昼下がりだとしたら、この楽曲は少し湿度を含んだ深い夜って感じでしょうか。
「Sweetな密の味」「闇に消えゆくバンパイア」「トランス状態の瞳」などなど、ワード的にもセクシーな表現が多くてドキドキ、小山田さんの声で歌われるとさらに…!ヤンチャなロックサウンドの後ろでスライドホイッスルのようなホラーな音が鳴っているのが聴いていてゾクゾクします。
でも不思議、後半からまた柔らかいサウンドに戻ってくるんです。なんだか二面性を持っている歌の主人公に手のひらの上で「おもいどおりに」ころころ踊らされている感覚になりました。


3.OH MY GOD

色んな人の「青春」に刺さりそうな楽曲。
学生時代に限らずとも人生の中で輝いていた瞬間、あの頃に思いを馳せるときってありますよね。
「もどかしさや痛みを飲み込みながらもこの先に必ず光がある、だから生きているんだ」みたいな祈りに近いものを、いるかもわからない神様に叫んでるような歌い方が泥臭さも感じられてとっても良いです。
同じギターのリフが鳴り続けているのが耳に残ってキャッチーさも持ち合わせている楽曲だと思います。


4.雨の散歩道

よた付いた足で雨の中ぐるぐる想い人のことを考えてて、最初は孤独な旅人だなんてカッコよく自分を形容しちゃうけど後半に行くにつれて愛がこぼれてどうしようもなくなるみたいな…大分ポエミーな解釈をしてしまいますが。
雨っていろんな捉え方ができて面白いですよね。単純に寂しさや冷たさを表現するだけじゃなくて、この楽曲だと「この恋はやまない」と気持ちの逸りみたいなのも表現されていると思います。ファルセットを重ねて歌われているパートは口には出せない心の声にも聞こえます。


5.ゆうちゃん

この楽曲かなりビビっときました!
圧倒的ゆうちゃんへの信頼、ゆうちゃんとは何者なのか…。でもこんな子が近くにいてくれたらめちゃくちゃ甘えたくなる気持ちがわかってしまいます。実在の人物をモチーフにしているのか、それともこんな子いてくれたらなという空想の中の人物なのか、ゆうちゃんへの謎は深まるばかりですね笑
サウンドも子供のころの少しセピアがかった風景が思い浮かびますし、なんだかおうちの窓から漂ってくるお味噌汁のにおいも感じられるような温かさも感じます。


6.あの日の約束通りに

奥さんの人生に少し陰りが見えてきた晩年の夫婦の歌に聞こえました。もしかしたら旦那さんはもう一人っきりかも。
タオルケットに染み付いた残り香を愛しく感じたり、瞳の揺らめきにときめきを感じたり、この二人の間にはもう言葉はいらないぐらいの信頼と愛情があるのでしょう。ゆったりと進むメロディが最後の残されたわずかな時間を大事に過ごす優しくも切ない二人の日常を表現しているようで、心にぐっと来ます。バンドサウンドというよりはアコースティックな雰囲気で、ピアノの音もとても印象的ですね。


7.ベロべロックンローラー

さすらいのロックンローラーな歌。歪んだエレキギターの音がよく合います。ロックと言いつつもスローなテンポで進んでいくので、酩酊状態のゆらゆらとした雰囲気を表してるのかななんて思いました。
「パトラッシュをガッシュを」のアニメ・漫画作品で韻を踏んでるのが面白いですね。「クロとミャーコ」にも何か元ネタがあるのかなと思って調べてみたんですけどこの曲の歌詞しか引っかからず、唯一出てきたのは「3丁目のタマ」だけ笑 さすがにニッチすぎますかね。


8.スランプは底なし

ここ最近で一番共感できる楽曲でした…。小山田さんの場合は音楽に関してのスランプなんだと思うのですが、私は絵を描く人間なので作品を生み出すことへのスランプがかなりこの曲の歌詞と重なりました。
本当に何もアイディアが浮かばないときって同じところをぐるぐる、同じ道を何回も通るんですよね…。新しいことをしよう!といきこんでも結局元の場所に戻ってくる。「とにかくネガティヴ」わかる、「適当に終わらせるだろう」わかる、「スランプは底なし」わかる…。何もかも完全同意の楽曲です。またスランプに陥った時に思い出す曲第一位ですね。


9.Kapachino

ずーんと落ちた心に疾走感あるさわやかな楽曲!さっきまでじめじめしていた心をカラッと晴れさせてくれるようなパワーがありますね。
昔より美しくなった彼女は今も間違いなく愛おしいのだけど、何かどこか違うところがあって、そのもやもやの正体が分からないが為になかなか思いを伝えられない。そんなかき乱されている心を勢い任せに全部吐き出す主人公の気持ちを、3分4秒という短い尺でバーッと走り抜けているようで聴いていてとてもスカッとします。


10.君の愛する歌

この記事で何回「愛」という言葉を使ったでしょうか。
とにかく小山田さんは音楽を愛している人なんだなというのがストレートに伝わってくる楽曲ですね。「君」は恋人や家族の人間に当てはめることもできると思いますし、音楽を「君」と置いているのも考えられるし、リスナーに向けて愛する歌を歌っているよという解釈もできそうです。
ラストのサビ当たりからしゃんしゃんと鈴の音が入ってくるのが、希望に向かって世界が広がっていく感じがして好きです。


11.ローヌの岸辺

音楽的な表現の仕方が分からないのですが、ドレミファ~のように順番に音階を踏むメロディが印象的です。
バックで鳴っているエスニックな音は何ていう楽器なんでしょうか?この音が川の水面の揺らめきやきらめきを表しているように聞こえます。
日々の凝り固まった緊張感をほぐしてくれるようなヒーリングミュージック感があって一日の終わりにぴったりの曲ですね。


12.夕暮れのハイ

王道のロックなバンドサウンドの楽曲。
真っ赤な夕焼けが大きく広がる空へどこまでも響いていきそうな歌声が、このアルバムのエンディングを告げているようでエモーショナルな気持ちにさせます。
このアルバムのテーマでもある「旅」という部分も、この楽曲でもたくさん感じられて締めとしてふさわしい曲だと思いました。ライブ映えしそうなのでぜひ生で聴いてみたいですね。


まとめ

全体的に聴いていてわかりやすく風景が浮かぶ楽曲が多くて、それは小山田さんの紡ぐ歌詞やメロディが私たちの生活になじむような楽曲づくりをしてらっしゃるのかなと思ったり。「旅」という色々な風景に出会う状況をテーマにしているからというのもありそうですね。
個人的には入り込んで聴くというよりは、ドライブとかお散歩をするときとかのBGMとして流れていたら自然に気持ちが上がりそうだななんて思いました。

余談ですがこの記事を書く前に小山田さんのことをいろいろ調べていて、ご本人のTwitterにたどり着いたらなんと私が愛聴しているチャラン・ポ・ランタンと対バンするという情報が入ってきてなんてタイムリー!と笑
また今度チャラン・ポ・ランタンについての記事も書きたいなと思います!
前回の記事で今度は簡潔に書きますなんて言ってましたが今回もまあまあの長尺に…。もう少し思ったことの言語化がうまくなりたい!
今回はここまで。

あかりたずな

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?