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エッセイの箱

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人生の時々に記したエッセイを、この箱の中に詰め込んでいきます。
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#ねこ

吾輩は猫でR-絵描きの見習い-

ご主人は絵を描く。 絵といっても、たいそうなもんじゃない。 葉書と同じ大きさの白い紙に、ちょっと変わったペンで描く。 どうも吾輩の絵を描いているようだが、似ても似つかない。 人間というものは、自分の好きなことをやっている時、非常にイイ顔をする。吾輩はご主人が楽しそうな顔で絵を描いているのを、書棚の上で眺めているのが好きだ。 ご主人が吾輩の絵を描き始めたのは、10年以上も前のことだ。 子供の頃から絵を描くのが好きだったようだが、本格的に絵を学んだことはない。学校のクラスの友

吾輩は猫でR-丁寧な言葉-

またもこんな夜中になって、 「ごめーん、みいちゃんお願い♪」と、ご主人が吾輩に猫撫で声を出す。 猫でもないくせに。 誰かにものを頼む時、人間は異様なまでに可愛くなる。 まさに虚構、演技の世界だ。 ただ、演技だと分かっていても、その可愛さにまんまと負けてしまうのが、男のサガ。 吾輩はこう見えても一応、メスだがな。 ****** 人間世界には「丁寧な言葉」と「そうでない言葉」があるらしい。 我輩としては、どちらだろうが相手に用件が伝わればそれでいいと思うのだが、人間社会、

吾輩は猫でR-犬神家の一族-

吾輩は猫でR。名前はM。 今夜は吾輩のご主人であるAkari姐が焼肉をたらふく食って苦しいとのた打ち回っているので、代わりに猫Mが弱輩ながらエッセイとやらを代筆することに相成った。 生暖かい目で見ていただければ、これ幸いでR。 「みいちゃん頼む! 代筆、頑張って」 吾輩に「頑張る」という人間的意識はない。 目の前のご飯に喜び、 くるくる動く猫じゃらしに興奮し、 寝たい時に寝、したくなったらトイレに出向く。 ただそれだけだ。 人間は頑張り過ぎだと常日頃思っている。 頑張っ