ペットのこと

 愛犬のことが世界一好きだったけれど、祖父が死んでから愛犬は祖父のものだと感じられてしまった。もちろん、祖父にいちばん懐いていたからということもあるが、祖父がいなくなって愛犬の元気がみるみる無くなっていったからだ。
 「火葬の棺の中に孫の写真を入れるな!」というツイートを見て、祖父のお葬式を思い出した。葬儀場の方のご好意で愛犬の写真をたくさん飾ってくれた。しかし私は、その写真たちを棺に入れることを躊躇った。連れて行かれるかもしれない、と思った。こういう場合はほとんど思い込みだと感じる。愛犬のことは祖父にとっても大切な宝物だったかもしれないが、残された私たち家族にとっても大切な宝物なのだ。
 昔は愛犬には絶対に死んで欲しくないと強く思ったものだが、祖父の死からは死をありのまま受け入れる覚悟ができた。愛犬が私たちと過ごすのも、祖父に会うのもどちらも幸せだと思う。愛犬はもう高齢であるから、あと数年でお別れだと覚悟しながらも、どこか寂しくて悲しくなるため考えないようにしている。ずっとだいすき。
 愛犬のために一般的な犬用洋服の5倍はあるであろう値段の洋服を買って、私の食費が吹っ飛びそうなくらいの値段の大きなクッション付きの新しいハウスを買ってやった。こうやってお金を使うのが楽しい。幸せ。

 うさぎを飼った。とても可愛い。愛くるしい。きっかけは突発的なものだった。「お前は彼氏に依存しすぎるから、ペットを飼うか、男を2人飼えばいい」。上司に言われた言葉だ。前々からペットは欲しかったから、この機会は絶好だと思った。
 候補はすぐに決まった。うさぎかチンチラにしよう。そのタイミングでたまたまうさぎのブリーダーを紹介してもらったから、うさぎを飼うためにひと月後には店に足を運んでいた。
 うさぎを迎えて半月ほど、ずっと悩んでいた。社会人だから、多少の財力があるからと、安易にペットを買ってしまったのではないかと思うと眠れなかった。うさぎは別の家庭に行った方が幸せだったんじゃないかと考えて落ち込んだ。
 1ヶ月経つくらいには慣れた。人懐っこい子で、楽しそうに跳ね回る姿を見るとこちらも笑顔になった。数ヶ月も狭いケージに閉じ込められていたのだから、我が家に来て幸せなんて当たり前だし絶対に幸せにしてやると強く思った。おやつのあげすぎには注意。
 最近は、うさぎのために外出が困難になった。ペット依存らしい。彼氏の次はペットに依存した。呆れるけれど、人間に振り回されるよりもうさぎに振り回されるほうがよっぽどいい。毎朝7時にモーニングコールをされる。幸せ。

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