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考える時間なんていらない。9/10

風があっちから、そっちから私の髪を揺らす。好き勝手に動く風は誰のせいにもならない。風はどう動こうと自由を許させている。いったりきたり…。風は私で遊ぼうとしている。そんな独り言を言って、押しつける向かい風の中、自転車をこいだ。真っすぐ続く道。風から守ってくれる建物や、乗り物はここにはない。ただ自転車のペダルを漕ぐことだけが私を前に進めてくれる。進んだ先に何があるのか、なんて考えなかった。努力したらいいことがあるとか、好きなことをしたら人生楽しいとか、そんな説明なんて必要ない。何も考えないで、全身の力をペダルに投げかける。