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川はただ冷たかった。14/20

帰りの道、川と共に帰った。寂しさを埋めるために、どこかで葉を川の流れに乗せた。立ち止まって、じっと見つめる。流れの頼りはいつも水の量で決まる。時には急ぎ、時には緩やかに。どこかの枝に引っかかっては止まり、流れに負けては沈んでいく。いくつも流した葉を私は全て見失ってしまった。まるで人の感情のようだ。次にどうなるのかは、誰も教えてはくれない。奪われていく自由。誘われていく思い。溺れていく自身。私と葉は似ているのかもしれない。確かなことは、どこにもない。永遠のない一瞬。私もあの葉のように流れ、儚く消えるのだろうか。自分の質問に恐怖を覚えながら、また葉を流してみた。どうか沈まず、とおく…とおくに流れますように、と。