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傘は透明で水をはじく 一話完結 (週一物語)6/10

『どこかの世界の人よりも幸せ。だから、頑張りなさい』

………そんな事、知ったこっちゃねーよ。

―――教室で先生の話している。話は世界のどこかの人達の生活…?だったかな…。まぁ、そんな楽しくない話だった。そんな話を聞き流しながら、窓から景色を見る。今日は曇りで、雨が降りそうだった。いつになったら降るのだろうかと、雨をただ待っていた。暗い表情をしていても、天候のせいにできる。なんとも言えない感情も雨のせいだと言い訳ができる。なんでも雨のせいにできる。そんな気がしていました。

『世界では屋根がない人や、自由にお金を使えない人がいる、両親が二人ともいること自体が奇跡だと。あなたは幸せだから頑張りなさい、と。時間があるのは幸せで、お金があることも幸せ。人が周りにいるだけで…どこかの世界の人よりも幸せ。だから、頑張りなさい。君達は平凡だと思うかもしれないが、世界から見ればこれはありえないことだ。幸せを感じなさい』

『ちょっと 君、さっきから窓を見てないで、何か意見はないのか?』

あまり意識がはっきりしない僕に話しかけてきた。頭がボーっとする。

『あぁ…、いえ。』

『君こそ平凡な毎日を過ごしているな、君のような者にこそこの幸せを噛み締めてもらいたい、人生の素晴らしさを』

『そうやって幸せと呼ばれる人間がそのまま腐って死んでいくんだ。』

僕はみんなの視線を一気に奪った。そんなことを言う必要なんてなかった。でも、もう口から出た言葉を戻すことはできなかった。意識が戻っていくのを感じながらぼそぼそとつぶやいた。

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