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Weekly Quest <どうする日本>

(2023年10月23日号)


毎週月曜日に Weekly Quest と称し旬な話題を深く掘り下げて投資のヒントにしていければと思います。

台湾有事でどうなる?

今回は極東アジア、東アジアで最も懸念されている”台湾有事”が起きた場合の日本への影響について考えてみたいと思います。これについては「自衛隊最高幹部が語る台湾有事 / 新潮社」に詳細に書かれており大変参考になります。より詳細な内容については書籍をご覧ください。

2024年の1月13日に中華民国総統選挙が実施されますが、その結果如何によっては中国の台湾侵攻の可能性が高まる恐れもあり、ますます神経質な動きになってきます。


中国共産党はありとあらゆる与党候補潰しを選挙前から開始し独立運動の機運が高まらないように妨害工作を行うものと予想されます。また、与党候補が圧勝し独立運動などが高まる場合には中国共産党は躊躇なく制圧に向けて動き出すものと思われます。

多くの日本人は関係ない事と思いがちですが、中国の侵攻作戦が開始されると日本も巻き込まれることになり、アメリカも含めて一大事になることが予想されます。

この場合、日米の株価は大きく下げることになりますが、とりわけ、日本株は大暴落することになります。それは当たり前のことで、中国軍が台湾に侵攻する場合は沖縄や太平洋のアメリカ軍の動きをいちはやく牽制するために、台湾侵攻と同時に先島諸島、特に与那国や石垣島が中国軍に占領されることになる可能性が大きいからです。

そうなった時に日本株が大きく下がらないわけはないと思います。ここでは、そう言ったことが起きる前に前兆として何が起きるのか?を考えていきたいと思います。

そのためにはまず台湾情勢の日々のチェックは欠かせませんが、まず侵攻前の前兆として考えられることは、ハッキングによるネット回線障害とインフラ障害です。

これは米軍と自衛隊の動きを遮断するためのものですが、米軍基地があるのは日本ですから、日本でも起こりうる話ということになります。当然ですが侵攻前に予行演習としてハッキングが実施されることも予想されます。

原因不明の回線障害が頻発するようになれば要注意ということになります。特に台湾では原因不明のインフラ障害(ダム、発電所など)が起きると侵攻準備が進んでいると考えても良いかもしれません。


また、中国の海上軍事演習にも要注意です。侵攻する際には先島諸島から台湾を取り囲む海上封鎖が予想されますが、この際に海上警戒区と称し中国が警戒区域を設定するのではないかと言われています。

これはバシー海峡が封鎖されるリスクが高いということです。バシー海峡といえば台湾南部とフィリピン諸島の間の海峡ですが、中東からの原油や天然ガスが日本に運ばれる最短のルートになっており、ここが封鎖されると日本経済には大きな影響が出ます。

他にも迂回ルートがあるのですが時間がかかります。また、こういった事象が起きる前には中国軍の演習が活発化してくることが予想されます。ウクライナ侵攻時にも事前の軍事演習が行われていました。おそらく侵攻直前は異常な数の中国軍が展開することになると思いますので、こう言った情報にも注意しておく必要があります。




敵は日本にあり


実際の有事の際に最も懸念されることは実は自衛隊の経験不足や戦力不足ではなく、”日本政府の決定力のなさ” になるかもしれません。

台湾有事の際には当然ですが台湾関係法によりアメリカ軍が進出してくることになりますが、その際にまず問題になるのはアメリカ軍の自衛隊基地の使用や補給目的の民間港湾施設の使用になります。

それを可能にするには防衛出動が下されなければなりませんがそれには国会の承認が必要ということになりますが、実際の攻撃が行われていないのに今の与野党が挙国一致することは難しいのではないかと思います。

さらに日本の民間施設をアメリカ軍が使用するには攻撃された後なら使用できますが、攻撃前では自治体の知事の判断ということになり、これも一筋縄ではいかないのではないかと思います。

また、問題になるのは、アメリカ軍が核兵器を持ち込むのか持ち込まないのか明らかにしないまま日本に協力を求めることです。日本には非核三原則がありますが、中国軍の行動があきらかに台湾侵攻を示唆していても実際の攻撃前に日本がこういった判断を下せるのかという問題です。

そして、アメリカ軍に基地の使用を認める決断を下すと、今度は中国側がアメリカ台湾連合に加担した日本になり、中国の攻撃対象にされることになります。

さらに、台湾にいる邦人救助の問題があります。台湾とは国交がありませんから救助に際し自衛隊機が台湾に入ることができるのかという問題です。これは朝鮮半島と同じで、韓国と日本は同盟関係を結んでいないため朝鮮半島有事の際に自衛隊機が韓国上空を通過することは現状ではできません。

また、中国本土の邦人救助はほぼ絶望的になってしまいますが、今の政府にこう言った一連の客観的判断が下せるのかというと、とても対処できないのではないかと思います。

おそらく、日本ではこう言った条約や法整備について現状より突っ込んだ議論がこれからできるのかも怪しいということです。要するに今の政治家はまったくこう言った事態を想定していないということです。

さらに、アメリカ軍への十分な協力をしないと、万が一先島諸島が占領されたまま終戦を迎えてしまうと、日本の頭ごなしで領土問題の処理が行われる可能性があるということです。

ここまで予想される流れを簡単に書いてきましたが、必ずこういうことになるとは限りません。ただ、少なくとも投資家であるなら ”常に備えよ” ということです。

特に軍事侵攻に向けての前兆については注視していく必要があります。来年以降、日本や台湾でネットやインフラ障害、さらに異常な数での中国軍の軍事演習、この3つが頻繁に起きるようなら、ポジションがある方は日本株はもちろん米国株も全て売却して様子を見ることが必要です。

何事も起きなければ ”よかった” で済ませれば良いだけのことです。ロシアのウクライナ侵攻の時もロシア軍の軍事演習から始まり、それを軽視して何も対応しようとしなかった投資家が多かったですが、その時にきちんと対処しておけば、大きな損をして売却するということも防げたはずです。

いままでに予想もしなかったことが起きたとしても自分の資産は自分で守るという姿勢が必要です。


最後までお読みいただきありがとうございました。

参考図書:
「自衛隊最高幹部が語る台湾有事 / 新潮社」