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Weekly Quest 2021年6月14日号


毎週月曜日にWeekly Questと称し旬な話題を深く掘り下げて投資のヒントにしていければと思います。今月のテーマは「再生可能エネルギーの将来性と投資」についてです。


今月のテーマ 〜再生可能エネルギーの将来性と投資について〜


前回は電力需給における再生可能エネルギーの問題点について九州電力の例を紹介しました。今回は太陽光発電について見ていきたいと思います。

○太陽光発電について

太陽光発電については投資対象としてもパネルやモジュールメーカーなど数多くありこれからの再生可能エネルギー拡大に向けて中心テーマになると言われていますが、本当にそうなのでしょうか?

我が家の近所でも多くの家の屋根にソーラーパネルが搭載されていますが、実際どれだけ発電に貢献しているのか非常に疑わしい限りです。そもそも発電可能時間が1日でせいぜい3時間ぐらいですね。パネルに直射日光が当たる時間がそのぐらいしかありません。さらに近年の猛暑でパネル自体の温度が70度以上になることも多くそれ以上の温度になるとパネル保護のため発電をしなくなってしまいます。さんさんと太陽光が振りかざす夏季にはほとんど発電していないことになります。太陽光の発電効率はどれだけ頑張っても30%ぐらいですから非常に効率が悪いと言わざるを得ません。

こういった「気まぐれ」なエネルギーをひとたび発電ネットワークに入れてしまうと前回紹介した九州電力の需給バランス不均衡から送電抑制が行われてしまうことになります。大量に太陽光発電による電力が供給されると需給バランスを取るために火力発電所を停止させることになりますが、逆に太陽光発電による電力が少なくなてしまうと一旦停止した火力発電所のタービンを再度回さないといけなくなってしまいます。一旦停止したタービンを再び稼働させるのには時間がかかるわけでコレは大変な作業なんです。こんなことを繰り返していると発電所がもちません。

太陽光発電関連銘柄の日米企業各社の株価を見てみると、こういった問題を隠したまま「再生可能エネルギー」というだけでもてはやされて上昇したという面が否めません。今後需給バランスの最適化技術ができない限り需給の問題は解消しませんので株価の上昇も期待できないと思います。

重要なのはこういった電力需給ギャップを自動的に制御する仕組みです。これにはハワイの例が参考になります。ハワイではスマートインバーターによる制御システムが義務つけられています。外部から電力ネットワークを制御できるということや自動的に出力制御が可能なシステムを使っています。電力関連でハワイでのシェアが2位の Enphase Energy という会社(ENPH)がありますがこのハワイでの成功例がいずれ本土での利用につながるのではないかと考えています。このスマートインバーターの要の一つはAC/DCコンバーターになりますが、それについては以前紹介したADIやTXNが製造しています。

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