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最後に完成させた小説。確か、25歳ぐらいに書き終えた小説。この小説の完成を機会に、小説を書くことから離れたんだと思います。偉大な先人の小説家と比べると、自分の作品の拙さがわかりますよね。しかし、拙さを感じつつも、努力できる人間が小説家になれたのかもしれません。僕にはそれができませんでした。ただ、30代後半の今、読み返してもこの小説は悪くないのではないか、とも思いました。(約17,580文字) --- 果美(かみ)はいつも地下鉄の先頭車両に乗る。 理由は二つ。一つ目は運
おそらく、小説としては二番目、全体としては三番目に完成した小説。こういうことばかり考えている大学生でした。(約5,900文字) --- 隣に女が座った。横目で女を見た。図書館の天窓から照らされる夕陽の強い逆光によって、顔は確認できなかったが、ゴシック体で書かれているタイトルだけは確認できた。相対性理論。 女は僕に話し掛けてきた。何を勉強してるの? 僕は横に積み上げている三冊のタイトルを順々に見