枝葉末節談話2話目:GoogleMapの魅力

地図という表現

皆さんは地図を見る機会がどれくらいありますか? 私は日常生活ではまったくありません。見る人と言うと飛び込みの営業マンとか、タクシー運転手とか、郵便配達員とかそれくらいでしょうか。でも、私は一時間くらいじっと地図を眺めていることがあります。飽きないんですよこれが。

何が面白いかというと、地図というのは土地の歴史を表現しているということです。何を言っているのか分からないと思いますが、とりあえずchromeでも開いてGoogleMapを起動させてみましょう。たいていの人は自宅の周辺か、東京日本橋辺りが出るんじゃないでしょうか。

それで、その日本橋を見てください。大都会です。東京駅の近くですから当たり前ですけど、多くのビルが密集しているエリアです。様々な企業や店舗の名前がびっしりと書き込まれています。なんだかウットリしてきますね、そうでしょう……? え? ウットリしないの?

地名に萌えよう!

じゃあ日本橋から少し右の方に地図をスクロールさせてみましょう。するとそこに小伝馬町という地名が見えます。いやぁ、萌えますね

……え? 萌えないの? だってあの小伝馬町ですよ。鬼平犯科帳で火付盗賊改方に捕まった奴が清水門外の役宅で取り調べられたり、拷問されたりした後にぶち込まれる牢獄があったところですよ。今は或る経済大国があるのみ(三島由紀夫)なのかもしれませんが、確かにそこに江戸時代のドラマの一角を担った場所が存在したと考えると、なんだか私はひどくエモい感じで心が満たされて……まあ、精神の問題ですから共感してもらおうとは本当は思ってませんが。

次は山々に萌えよう!

では次は都会の喧騒から離れて山へ行きましょう。適当に……四国の石鎚山にしてみましょうか。そこまでGoogleMapを移動させます。

いやぁ、さっきと違って何もありません。かつて空海が修行した山というくらいですから、人里から遠く離れた場所です。拡大しても今度は何も書き込まれていません。単なる鼠色です。そこにグニャグニャに曲がりくねった道が記載されていて、わずかな店舗やら施設やらのみが書き込まれているだけです。今度は心が洗われるような気持になって……やっぱりなりませんか?

想像してみてください。GoogleMapだと単なる鼠色かもしれませんが、本当は大自然と野生動物の宝庫なのですよ。そこに人間が作った僅かな痕跡が残るのみで、大都会にびっしり書き込まれた文字ではなく、その空白によって人間以外のもののみで構成されているということが表現されているのですよ。いやぁ、深いですね……

……やっぱり私の気持ちを分かってくれる人なんていないのかもなあ。

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