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この音のすべて

 この音のすべてが好きだ。そう感じる曲に、あなたは出会ったことがあるだろうか。私は、ある。

 作者の名前は、「平田義久」氏だ。彼は、映像作家でもある。

 彼の作品に衝撃を受けて、好きだと思ったのは“この夏のすべて”という曲だった。

 音楽ジャンルは、レゲエ。でも、私の知ってるレゲエのイメージとは、かけ離れていた。いい意味で予想を裏切られてしまった。

 初めて聴いたとき、夏の暑さと涼しさが同時にバランスよく存在してることに、とても驚いた。

 歌詞も美しくて、聴き終えた後に1つの映画をみたような、一遍の小説を読み終えたような読後感を覚えた。

 これは、他の平田義久氏の作品にも言えることで、氏の魅力だ。

 また、曲のイメージ映像がはっきりと思い浮かぶことも、魅力の1つだろう。

 氏の“夜がはじまる”も最初の一音から、夜の色に染め上げている。

 目を閉じて、音だけになり、本作に浸る時間は心地よくて、ずっとその時間が続くことを願ってしまう。

 音楽が与えてくれるものには、共感や包容、気分の高揚、ストレスの解消などがある。私にとって音楽は、至極の時間を与えてくれる存在だ。

 この音のすべてが愛しい平田義久氏の作品を、もう1つだけ紹介しよう。

 本作“Remember”は、別れの曲だ。別れと出会いの季節「春」が似合う作品でもある。

 本作も、曲のイメージ映像が浮かぶ作品で、美しいなと思った。これは氏が、映像作家でもあるためなのだろうか。

 私は、おそらく氏の作った曲を、音をずっと覚えているだろう。だが、人の記憶からはまず音の記憶から消えるという。

 自分の一部になるまで聞き続けていても、忘れてしまう日がくるのだろうか。

 でも、忘れてしまっても大丈夫だ。また、この音に、この音のすべてに恋をして、愛しく思うだろうから。

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