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クレイジー落語会! 三幸・三度・米輝の『新世代新作落語 in OSAKA』

いやぁぁ愉快痛快クレイジーな会でした!

六代文枝門下のポジティブ・雑にフレンドリー・桂三幸さん
ご存じ、華麗なる転身を遂げ落語界入りされた桂三度さん
米團治門下で不思議な新作を量産しているぴよぴよ桂米輝さん

この三人の新作落語の作り手が、それぞれ5分・10分・15分のネタを3席ずつ、合計9席披露するのですが、この会は朝席。あさ11時開演という慣れない時間に繁昌亭へと走ったのでありました。が、走っただけのことはあったのです。

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新作落語には「未知のストーリーを味わう」という楽しみ方もありますので、以下なるべくネタバレしないように書きますね。
時間配分としましては

5分ネタ

『みそねぶり』米輝  『予告編』三度  『CDショップ騒動』三幸 
 
10分ネタ 

『寿司屋兄弟』米輝 『先生ちゃうねん』三度  『五百分の一』三幸
 
15分ネタ

『からあげ三年』米輝 『馬か鹿か』三度  『天井高い』三幸


どれもこれも頭おかしい (褒めてます!) 作品なのですが、共通して言えるのは、ものすごく振り切っているということ。

誰にNGを出されることなく、誰にもじゃまされることなく
「オレはこれがおもしろいと思うんじゃあああ!」
というものを自分で書いて自分で口演するからこその、オリジナルでストロングなスタイルなのです。

というかこれ、もしわたしが台本で書いて演者さんに渡したら「は?」と言われること間違いない。
「これどういう意味ですか?」
と聞かれるか、最悪
「これ、落語として成立するんですか?」
と、いぶかしげな顔をされる可能性もある。

わたしらは演者さんに上演してもらってなんぼ、というところがあるので、まずは演者さんが読んで「おもしろい」と思うものを書かねばなりません。「出来ませんわ」とはねられたら、即お蔵入りとなります。
「これ、おもしろいと思うねんけど…ちょっと尖りすぎかな」という部分は少しだけ研磨して、演者さんとの間に笑いの最大公約数を作ってゆく。

なので、よっぽど笑いについての感覚が近い演者さんに書くか、もしくは
「このギャグのなにが面白いのかっていうと」
といちいち説明し説得するかでないと、これだけぶっ飛んだ新作落語を作家が演者に上演してもらうのは難しいといえます。
その分、上演されれば広い層のお客さんにも受け入れられやすいのが、作家が書く台本のメリットなのかもしれません。

今回、米輝さんがマクラでこんなことを言うておられました。

「新作は、ボクの心の中をさらけ出して、開いてお見せしているようなものなんです。なのでみなさんもどうか、心を開いて見てください」

録音していたわけではないので、一字一句このとおりではないのですが、でも言うてはること、すごくわかります! 心、さらけ出しますよね。

キャラクター重視の米輝さんの新作、そこからの展開があるのがすごい。
今回の3本で米輝さんの頭の中をちょっとだけ、見せてもらえた気分です。

この会で一番「やられた~」と思ったのが、三度さんの『馬か鹿か』でした。
登場人物はふたりだけ。古典落語で「根問もの」と呼ばれるジャンルの、ねほりはほり聞く会話で進める一席です。
その会話の中で、時間や空間がびゅんびゅん飛ぶ飛ぶ。会話だけでいろんなところへ連れていかれる爽快感。
古典落語の形を踏襲しながらも、はさみこまれるギャグは三度さんならでは。
ああ~これはわたしらが思いつかなあかんかったスタイルなのでは。
もっと勉強せな、とガツンとくらった作品です。

音響を使って、一番のフリースタイルだったのが三幸さん。
どこまでが落語でどこから落語じゃないか、というのはけっこうむずかしい話なのですが、三幸さんの落語は、異論はあるかもしれませんがわたしには、みんなちゃんと落語に見えるのです。どんなにヘンな形であっても。

去年の4月、NHK『上方落語の会』でオンエアされ、衝撃を与えた三幸さんの『ラスト一球』にしても、すごい落語やなぁと思うのです。
余談ですが、今年の4月の『第六回 上方落語若手噺家グランプリ 予選』@繁昌亭 4/13(月)の第二夜で、その『ラスト一球』がかかりますので、気になる方はぜひ。


この日、配られたチラシの中にA4の白い紙があり、演目のメモに使ってたんですが

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よく見たら三幸さんと笑利さんの二人会のチラシでした。

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家のプリンターの黒インクがなくなって、青も切れかけてたのでギリギリ小さいサイズで印刷しました、とのこと。
やっぱりヘンな人やなぁ。



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