見出し画像

特定外来種の話


4年前、赤色の可愛いメダカを10匹購入し睡蓮鉢に放して毎日眺めて楽しんでいました。毎年どんどん増え続け今年は200匹近くになりました。水替えや暑さ対策やら、一所懸命世話をしては癒される日々。お稽古の行き帰りに見て下さる生徒さんもいらっしゃり、みなさんに親しんで頂いていました。
 ところが7月のある朝、餌をあげようと日除けを上げたところ、あまりの光景に呆然。200匹近くいたはずが目算でも簡単に数えられる30匹程に激減していたのです。烏よけにかけた網も引き剥がされていました。何が起こったのか分からず、人の侵入も疑い警察に相談しますと、直ぐに様子を見にきてくださいましたが、結局は猫がイタズラしたのではないか?犯罪の可能性は低い、犯罪抑制にもなると防犯カメラの取り付けを勧められました。猫がメダカを食べるなど、聞いたことがありませんので、腑に落ちないまま防犯カメラを取り付けようかと家族で話していました。
 その日の午後、郊外に住む娘の友だちが遊びに来て、メダカが忽然と消えた話を娘が友人にしましたところ、友人のお父さんが飼っていたメダカも被害に遭い、防犯カメラを取り付けたそうです。そうして数日後そこに映っていたのは「アライグマ」だったのだそうです。アライグマという思わぬ言葉に驚いてインターネットで検索してみますと、アライグマのメダカ被害が沢山出てきました。でもこんな都会の住宅街にアライグマが居るのかなと半信半疑のまま区役所に電話で相談してみたところ、「少数ですがアライグマの被害はあります。」という答えが直ぐに帰ってきました。そして、アライグマは特定外来種に指定されているため実際に目視していなくても駆除の対象になると、5分ほどで手続きをしてくれました。そして2日後駆除業者の方が来てくださり捕獲機を設置。その方のお話では、昼間は空き家などに住んでいて夜になると好物の果実や生魚を探して出歩くそうです。まさしく絶好の餌場でした。
 日本に入った経緯は定かではありませんが、ラスカルというアニメで可愛らしいアライグマがブームになりペットとして輸入されたこともあったようです。ところが、かわいらしい姿とは裏腹に、どう猛で人には全くなつかず、逃げたり逃したりして、そのまま日本に定着したようです。見た目のかわいさを思うと、実際捕獲されたら逆に心が痛のではと、別の心配もしています。アライグマにはなんの罪もありません。かわいいから飼いたいという理由で遠い日本に連れてこられ、最後まで責任を持って飼育するらまだしも、飼いきれなくなってしまうという人間という身勝手で浅はかな動物の犠牲になったのです。
 ところで、こんなに増えたのはこの2、3年ですが、メダカは10年来飼っていましたのに、どうして今年急に被害に遭ったのかなと疑問に思い色々調べてみましたところアライグマは犬が嫌いという記事を発見しました。昨年まではラックがメダカを守っていたのかもしれません。ラックありがとう。

※2022年8月第88号掲載
 生き残ったメダカを細々と飼い続けていましたが、2023年もやはりアライグマがやって来て荒らされてしまいました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?