真央ちゃんの夢
6月、立川ステージガーデンで開催された浅田真央さんのアイスショー
「Everlasting33」に行ってきました。
真央ちゃんのアイスショーは昨年の「beyond」以来。33歳になった真央ちゃんは真央ちゃんと呼ぶのは気が引けるくらい素敵な大人になりました。
今回のショーも全てを真央ちゃんがプロデュースし、全く新しいエンターテイメントを創造したと言っても過言ではなく、真央ちゃん、いえ真央さんの芸術に対する理解の深さを思い知らされることになったのです。
エバラス33の何が既存のアイスショーと違うのかと申しますと、アリーナ開催ではなく、ライブ会場に劇場型リンクを作り、音楽はオースストラピットからの生演奏。
観客はオペラやバレエを観劇するように演技を前方より観ます。これは、画期的で斬新なアイデアで、今まで無かったアイスショーのかたちです。
アリーナでのアイスショーは一回で会場によって1万人を集客。360度に客席が配置され、観る席によって演技の見え方が変わりました。
全方向に向かって演技するため、演技に裏と表が生じるのです。今回のショーは劇場型のリンクですから、バレエのように観客に向かって演技し、どの席からも、ほぼ演技の表が見られます。
当たり前のようですが、この考え方は全く新しいことでした。また、オーケストラの生演奏も圧巻で、日頃は主にバレエ公演で指揮をする指揮者が、実際の演技に合わせて演奏をするので、演技と音楽が寸分の狂いもありません。
普通フィギュアスケートの演技は、振り付けに合わせて曲の長さを秒単位で調節します。一つ一つの技には、子どもの頃から練習してきた、それぞれのタイミングがあるからです。
羽生結弦さんなどは0.1秒単位で音楽を編集するそうです。エバラスでは、音楽を編集して演技に合わせるのではなく、指揮者が演技をみながら微妙にテンポを伸び縮みさせることでピッタリと合わせますので、より臨場感か生まれました。
フィギュアスケートのショーはどちらかというと、スポーツとしてのフィギュアスケートの延長線上にありましたが、真央さんの新しいショーは、バレエなどの芸術性高いエンターテイメントへとアイスショーを押し上げました。
これは、フィギュアスケートにとっては、新しい展開であり、可能性です。
トリノオリンピックではオリンピック代表の選考試合でもある全日本選手権で優勝しましたが、年齢制限のため出場かなわず、次のバンクーバーオリンピックに19歳で初出場するも、キムヨナ選手に及ばず銀メダル。
そして挑んだ2度目のソチオリンピックでは、ショートで大きなミスをし金メダルの夢はついえましたがフリー演技で、女子で初めて5種トリプルのジャンプを成功させるという偉業を達成したのは、私たちの、世界の人々の心に残るところです。
ショートで大きなミスをして、茫然自失状態になった真央ちゃんを姉の浅田舞さんが勇気づけました。「小さな頃からずっと練習してきた事はなくならない。真央には出来る!」と。
長きにわたる選手生活の間、また引退してから、真央ちゃんは常に基本のスケート技術を大切に練習を続けてきました。華やかに見えるフィギュアスケートの練習は地味な基本練習の繰り返しです。
自由な身体表現は、基礎練習の上にあるのです。そして、その延長線上にエバラスがありました。自由な表現と真の芸術を手に入れた真央ちゃん。
ほしかったオリンピック金メダルは手に入らなかったけれど、さらなる高みへと夢は広がり、この秋、立川に真央リンクをオープンさせます。真央ちゃんの夢が、次の世代で叶えられるかもしれないと思うと胸が熱くなります。
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