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マエストロ プロムシュテットさん、お元気で!

2018年から月に一度、NHK交響楽団の定期演奏を聴き続けています。

コロナで定期演奏会が中止になった時期もありましたが、現在はすっかりコロナ前に戻りました。

コロナで軒並み演奏会が中止になり、活動の場を無くした演奏家のみなさんも苦しい時期を乗り越え、より一層聴衆の前で演奏する喜びを感じておられるのではないかと思います。

音楽ファンにとっても、好きな音楽をコンサート会場に出向き聴けることは、とてもうれしいことです。

テレビ、ラジオ、YouTube、配信など、アーティストにとっても発表の場が広がり世に出るチャンスが増えましたが、

私はコンサート会場に足を運んで直接演奏を聴きたいと思います。

いくら技術が進んでもスピーカーが空気を振動させるのと、楽器や人が振動させる音は全く別物と感じるからです。

そして、もう一つの理由は演奏家との一期一会です。一流の演奏家と言ってもロボットではありません。

毎回録音のように同じ演奏は出来ないのです。

会場、観客、共演者、奏者のコンディションによって全くちがう表現、演奏になるでしょう。

演奏家の方の中には、最高の演奏は年に一回、一生に何回出来るかどうかと言う方がいます。

そんな会心の演奏に出会うにはひたすら会場に足を運ぶしかありません。そしてそれは心震える体験です。

先日、NHK交響楽団の10月定期演奏会で、そんな心震える演奏に立ち会えました。

1927年生まれのプロムシュテットさん指揮によるマーラー交響曲第9番です。プロムシュテットさんは2年ごとにNHK交響楽団と共演しています。

前回はゆっくりながら自力で舞台に立ちました。今回はコンサートマスターに支えられて舞台に出て来て椅子に座って指揮をされました。

座ってといっても40分に及ぶ大曲を最後の一音まで丁寧に慈しむようにタクトを降ろされた時の感動は忘れられない一瞬です。

人生の全てを音楽に捧げた95歳のマエストロに惜しみない拍手が鳴り止みませんでした。その度に、コンサートマスターに支えられながら三度舞台に出て来られました。

音楽は聴衆と演奏の機会があってこそ。

その、真摯な気持ちがそうさせたのだと思います。年齢を考えると、あと何度その勇姿を拝見できるのか。マエストロプロムシュテットさん、どうかお元気で。

さて、機会がありましたら、ぜひ会場でクラシック音楽を聴いて頂きたいと思います。きっと、好みの一曲、演奏家が見つかるのではないでしょうか。

そして、さまざまな聴衆が演奏家を育てると言っても間違いではないでしょう。難しい知識必要ありません。

花屋さんでお花を選ぶように、今日はこんな気持ち!で良いのです。


※2022年11月号教室だよりに掲載しました。本年10月のNHK交響楽団定期演奏会にも来日される予定でしたが、ドクターストップにより、キャンセルされました。マエストロどうかお元気で!

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