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小説解説 #03|OL長嶺茜の罪

こんにちは、735番こと長嶺茜です。今日も雨浦監獄から私のnoteをお届けします。

今回からいよいよ雨浦監獄物語のメインストーリーの解説になります。

逮捕編

以前からお話ししている通り、雨浦監獄物語は複数の章で構成されています。その最初の章である逮捕編は私の逮捕から収監されるその日まで、つまりプロローグから遡ってまたプロローグの時系列に戻って来るまでを描いています。

監獄物語と言いながら刑務所の場面は一つも出てきませんが、私が獄中生活を送るきっかけとなった始まりの話。選択を誤った私が徐々に監獄へと歩みを進める破滅の話となります。

この頃を思い起こすと改めて自身の愚かさを身に染みて感じます。もう変えることのできない過去の過ちを思い返すのは辛いですが、それもまた私に課せられた罰。今回より1話ずつ逮捕編の内容を解説していきます。

私の秘密

第1話、タイトルは『OL長嶺茜の罪』

タイトルを見て、あぁ、この頃はまだOLだったんだ、としみじみしてしまいました。これから厳しい道のりを歩む運命なのだとしても事務服を着てキラキラしているOL。囚人服を着てシクシクしている女囚とは大違いです。

しんみりしても仕方ないですね。この第1話は私の設定回のような位置づけで話も短めです。タイトルの通り私が犯した罪の内容のほかに私がどのようなOLなのか描かれています。

そこについては私の自己紹介でお話しましたのでここでは割愛します。私がどのようなOLだったのか、そしてどのような女囚なのか気になる方は下記の記事をご覧ください。

今回は設定回ということもあり、あまり多くを語る部分はないのですがこの話で明らかにされているのは私は紛れもない犯罪者であるということ。

女囚モノの主人公が女囚である理由は様々で、冤罪であったり、強い信念を持った確信犯であったり、自分の正義のために法を犯したり、愛する者のために罪をかぶったり……などなど、どれもドラマチックで、罪人でありながらも同情や共感を呼びます

しかし、私の場合は自らの心の弱さ、欲深さで罪を犯した言い訳の余地のない罪人。そこに同情や共感は生まれず、厳しい世間の目と法の裁きが待っています。

私は卑しい犯罪者

ですが正直この頃は逃れられると思っていました。これ以降私は横領を止め、膨大な経理データの中にその証拠を葬りました。時間とともにそれらは更に奥深くへと押し込まれ、私が犯した罪はそのまま消し去れると信じていたのです。

そして慢心もありました。仮に万が一バレたとしても許されるのでは……会社は私を守ってくれるのでは……だって私はこれまで真面目に職務をこなし、会社にも貢献し、その成果も認められている。そんな私が捕まるはずがない、捕まっていいわけがない。

恥ずかしながらこのような気持ちがあったことも否定できません。それくらい刑務所という場所は私にとって縁遠い場所だったのです。

ですが現実は違いました。この後、私は自分が卑しい犯罪者であることを嫌というほど思い知らされるのです……

横領の事実を秘め、心の底でくすぶる不安を押し殺すように何食わぬ顔で仕事をする私

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