金田一少年の事件簿でファム・ファタルを見つけた

そのファム・ファタルに人生を狂わされた哀れな女を紹介します。

そうです、今回は女×女の話です。百合です(百合ではない)(殺し合いは愛し合いと解釈しがちなオタク)

当然ながらネタバレなのでこの先は自己責任で読んでください。

このnoteは

のネタバレを含みます。

登場人物は

巽　綾子(故人)

巽　紫乃

綾子と紫乃の息子、征丸(左)と龍之介(右)

綾子と紫乃は姉妹……ではなく前妻後妻。

紫乃は貧困母子家庭に育つが、努力して県内トップ校に進学。そこで資産家令嬢の綾子と同じクラスになり、苛烈なイジメを受ける。

何かが気に入らなかったらしく、綾子は紫乃を徹底的にいじめる

この関係は紫乃の母親が亡くなったことでひとまず終わる。高校を中退して働かなくてはならなくなったからだ。
ところが訳あって紫乃は子供を授かってしまい、産婦人科を受診する。そこで運命のイタズラか綾子に再会してしまう。

もうこの時点でだいぶ運命の女

金持ちの家に生まれた綾子は幸せな結婚をし、その子供は輝かしい未来が約束されている。それに比べて私たちは…………。紫乃は激しい嫉妬に身を焦がす。
紫乃にできる唯一の復讐は、生まれたばかりの赤ん坊を入れ替えることだった(！)
自分の子供には名家巽家で輝かしい未来を、綾子には散々嘲った自分の子供をそうとも知らずに育てさせるという復讐……。

運命狂わされ中

その後、そのまま何もせず放っておけば目的を果たしてめでたしめでたしだったところ、愚かにも紫乃は綾子のいる巽家の使用人になる。

いやこれほんとわざわざ自分から綾子のとこ行くの……さすがに……なんというか……引き寄せられてしまったといっても過言ではない気がします。

ちなみに綾子はこの時点でナレ死する

ファム・ファタルは死んでからが本番！

さて綾子が死んだあと、巽家の使用人だった紫乃は綾子の夫＝巽家当主に見初められ後妻となる。
紫乃、ラッキーである。

しかし夫はその数年後逝去。
そしてその遺言が、紫乃にとってアンラッキー極まりない内容であった。

よかれと思ってやったのかしら…………？

何もなければ、実の息子龍之介が家督を継ぐはずだったのに、遺言は偽りの息子征丸を指名した。
こんな運命のいたずらある？
しかもそれを受けての征丸の反応は、あの綾子の面影を色濃く落としていた……。

運命の女は何度でも蘇る

このときから征丸は自分の息子ではなくなってしまった……

逆に言うと、この時点までは母親として征丸に接していたんだな、と……。
憎い女の子供なのに、殺すことも捨てることもなく……。
実の息子ではないとはいえ少なからず情があったのだと思いますが…………。

このあと、紫乃は自らの手で征丸を斬殺し、首を切り落とす。
そして龍之介を再び当主とするべく、トリックを遂行していく……。

しかし名探偵の手によってすべては白日の元に晒された。

ここからが芸術点の高いところ

なんと紫乃は実の息子、龍之介に毒殺される。こんな因果の巡り方があるかよ…………(恍惚)

毒を盛られてなお息子をかばう紫乃

それはもはや母の愛情などという言葉では生ぬるい。

これ以外にない最高の終わり方

運命に翻弄され続けた女の激動の一生、いかがだったでしょうか。

ファム・ファタル巽綾子は割とすぐに死にますが、死んだあともなお呪いのように紫乃の心を蝕み続け、結果として紫乃のすべては失われてしまいました。

紫乃は運命に抗おうと懸命に努力しましたが、すべては失敗に終わり、最愛の息子の手によって人生に幕が引かれます。

美しい物語でしたね！ご一読ありがとうございました！