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気になる香りの正体は



実は「釧路の木」

 阿寒でも30℃近い気温になる日も増えてきました。風もあり外の空気は夏の香りがします。

 以前から気になっていたこの時期のこの香り。甘い花のような、森の香り。
 国道を走っていると、濃い緑色の葉が沢山茂ったそれほど背の高くない木にとてもクリーム色がかった白い花がこんもり咲いているのが目立ちます。
 

サビタの花


「この花の香りなのかな?」

 古い友人に聞くと、これは「ハシドイ」の香りだという事が判明。加えて今は「サビタ」の花も満開なのでこの香りも混ざっているとの事。これからは「シナ」の花も咲いてきているので、甘い香りがもっとしてくると思うと。

シナの花


 

ハシドイの花


 この「ハシドイ」。釧路の木として昭和44年(1969年)「釧路の木選定会議」にて決定されたそうです。
 紫色のハシドイは「ライラック」です。こちらは「札幌の木」です。ライラックの香りも有名ですが、同じ種類ということで白くても良い香りがする訳ですね。

ライラックの花


 


アイヌ文化有用樹木

 ハシドイは別名「ドスナラ」と言われ、アイヌ文化でも多く使用される木です。

・囲炉裏

春採生活館の囲炉裏
(阿寒アイヌコンサルンで制作・監修)

・炉棚

同じく春採生活館の炉棚

 この他、アペキライ(灰ならし)、アペパスイ(火箸)、ラッチャク(灯火台)など、炉周りに多く使用されます。
 また、ドスナラは硬く腐りにくい事から、墓標や祭壇の柱にも使われているそうです。



アイヌ工芸技術後継者育成事業

文化伝承・技術継承調査事業
アイヌ民族の伝統的な生活道具や、生活様式等の内容、取組、制作方法等を記録、把握し、アイヌ文化や技術の担い手育成に向けて必要となる資料を作成することを目的とする。 

 アイヌの伝承をされた先輩たちから多くを学び、記録し、時には制作に携わり、今後の阿寒湖のアイヌ文化の担い手の人たちにも、その伝承や技術を繋げていけるひとつのツールとして利用していただけるよう活動しています。

 上記で紹介した炉周りの制作に関わって記録を残したのがこの事業です。

 アイヌ工芸技術継承者育成事業には、もう一つ草木・織物調査事業という主に、オヒョウニレの樹皮を使った「アットゥシ(樹皮衣)」の制作技術を次世代に継承していくための事業もありますが、そちらはまた別の機会に。