伝統文化を伝承するための活動
ゴザ編み伝承会にて
シキナ(ガマ)を編んでつくるゴザは、チタラペ、キナ、トマなど地方によって呼び方も違うようですが、釧路地方では無地のものを「ソカㇻペ(敷くもの)」とも呼ぶそうです。
ガマといえば、幼き頃、細長い葉の中に茶色いホットドックみたいなものが沼地や川の縁に沢山生えており、ふざけて口にしたらガマの穂が弾けてとんでもないことになったのを覚えています。
最近はめっきり見なくてなってしまったこのガマを使って作られるソカㇻペを、今後も阿寒でも作っていけるよう、材料を採集するところから有識者の先輩たちに教わり、記録し、道具を作り、保存し制作しながら学んでいくという取組みとしてイオル再生事業と高齢者コミュニティ活性化による文化知見の伝承・共有化事業合同にて先日「ゴザ編み伝承会」を行いました。
いよいよ制作に入ります
昨年度はガマを採取し洗って干す作業と同時に編んでいく道具、「イテセニ」も作りました。今年度は、ソカㇻペそのものを作ります。
文様入りのチタラペ
ゴザは敷物なので、敷いて座るものだと思いますが、木綿の布やシナの木の皮などを赤や黒に染めたもので文様を施してあるゴザは、供物を置いたり、イナウを包んだり、チセの壁、神窓の周りなどに使われるカムイとの繋がりに関わる神聖なものであるため、人は座りません。文様の上に座ったり歩いたり、足で踏みつけるような事はしません。人が座るもの、歩くところは無地なのです。
そのため、阿寒アイヌコンサルンではアイヌ文様を使った座布団や、靴下、絨毯やラグといった商品開発の依頼などは、アイヌの文化を尊重するため出来るだけお断りさせていただいております。
文様に関する事に触れた記事もご参照ください。
伝統的なアイヌ文化・生活の場の再生支援事業
シキナを使うソカㇻペや、オヒョウの内皮を織って作るアットゥシや、撚って紡いだ糸を使って編むサラニㇷ゚など、完成するまでにとても長い時間が必要です。材料となる植物を育て、採取保存し、加工し、道具を準備し制作。制作も簡単な作業ではないでしょう。
アイヌの人々の知恵を生かしたもの作りの文化も、これからもずっと残していけるよう活動しているのが、伝統的なアイヌ文化・生活の場の再生支援事業「イオル再生事業」です。