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ゲシュタルト崩壊寸前の「ありがとう」(転職します⑯)

先週月曜日。お取引先の方と新橋でお食事。駅で待ち合わせ、アテンドいただくも、お店まで潤沢に迷いながら到着。長くうちの仕事をやってくだすってる偉いお兄さんと、毎日何もかもに死ぬほど一生懸命な営業のお姉ちゃん。今まで知らなかった苦労などもお聞きして、さらに感謝のほう募り果てる。宴もたけなわ、みんなで休みの日はどんな風に過ごしているかの話になる。そういえば、趣味の話なんてしたことなかったね。あんなに毎日一緒に過ごしていたのにね。たくさんのお気遣いを頂き、俺はおかげさまで生きさせていただいていたことを知りました。お姉ちゃんは私のことが恐ろしいのかいつも緊張していたけど、たまに夕方とかに電話をすると、やけに色々話してくれて、ともだちでもいけてたねと実は思っていた。その夜、初めて一緒にお酒を飲んだのだけど、解像度が上がり、君を、君の素敵なところが、今更なんだけどたくさん見えた。今更でごめんね。あなたの一生懸命さと、たまに見せてくれる人なつこい瞳が好き。

先週火曜日、また新橋。またお取引先様とお食事。お兄さん、お兄さん、若者、かわいい女の子、志村君というメンツ。先方様とはともに死線をくぐってきた間柄故、お互い苦労話には事欠かない。だけど皆様、自分がしんどいときも、寝てないときも、いつでも優しくて、気遣って下すって、だから余計に辛くって、当然ながら憎いと思う気持ちは毛頭なく、なんとかこの状況を一緒に越えたいという悲願だけだった。だから今もこうやって、お酒を飲みながら話せるんだよね。貴方たちの優しいまなざしと気遣いの言葉に、油断したら泣きたくなるけど、もしかしたらあの試練も、今日この時間のためだったかもしれないね。集いの終わりに素敵な素敵なハンドクリームのセットを頂いた。それはわたしの大好きなオーキッドの香り。そういえばあの頃、眠るときにいやな夢を見ないように、オーキッドの精油を枕に塗り込めていたんだった。だからそれも思い出して、また思い出が重なっていく気持ちになった。最後に一言、ということで、「毎日飲んでるので、ブスですみません」と言ったら、かわいいよかわいいよのシュプレヒコールを頂き(言わせ)、気分よく帰宅。

金曜日、次は品川。お取引先様とお食事。代理店さん、印刷会社さん、撮影スタジオさん、いつものメンバーで。しなしなの焼きそばが妙においしくて、みんなで食べる。それから「お金の心配がいらないなら、どんな習い事をするか」という話で盛り上がる。カチカチの営業マンの君から、非常にアクロバティックな回答があって、やっぱりみんなのことよく知らなかったし、知ろうとしてなかったななんて思った。皆様から寄せ書きと真っ白なお花のブーケ、そして撮影スタジオの、ジョン・トラボルタに似ているお兄さんから、十番で有名な豆菓子と琥珀糖を頂く。わたしは良くない取引先で、とんでもない我が儘を言うし、困らせてばかりだったのに、どうしてそんなに優しくしてくださる。ちょっと本当に泣きそうだったけど、泣いてはならぬと寄せ書きをあまり読まずに、おうちに持ち帰る。おうちで寄せ書きを開き読む。言葉と言うのは、勇気をくれて、内省をくれて、それ以上に温度を感じさせてくれて、今まさにあなたがそこにいて、わたしの目を見て言葉を発声してくだすっているような、そういうこと。ひとつひとつ咀嚼し、涙目のまま、幸せな気持ちで眠る。


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