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よい出張を捻出しよう!超ラッキーなハワイ出張のお話

今日は、12年くらい前とある企業でSNSの担当をしていたときに、コラボして一緒にがんばっていた取引先の方とご飯を食べた。昔話に花を咲かせつつ、ハワイアン料理を食べそぼっていた。
なぜハワイアン料理か?当時、なんだかんだうまいこといって、わたしたちはハワイに行かせてもらえたのだ。それはとても幸運なことだった。ああいうラッキーハッピー出張はずっと心に残っているもので、ぜひ新卒の皆様にも意識していただきたいと思い、むかし書いた日記を転載します。
むきたまご=取引先のやつ。いまは社長になっている偉いやつ。
ディーン(エグザイル)=ハワイでお世話になったエージェントの方。超イケメンでいまだに好き。
わたし=筆者
飛行機がハワイに着陸するあたりから始まります。

(1日目)

気安いアングロサクソンの隣ですやすやと良い子で眠っていたわたしは機内の電灯がついたタイミングで目覚めた。出発したのが日本時間の23時でだいたい今は6時くらいか。外も明るくなり始めてゐる。わたしはCAからお手拭を受け取り目ヤニを拭い、朝食が運ばれてくるのを待った。朝食には温かくトマトのスウプをよばれた。それと小さなブレッドにフルウツを小さく切ったやつを。まぁ別にどうという味ではなかった。

食事が済んで歯磨きなどをしているとそのうちに、もうシートベルト着用サインが点灯し、皆席でよい子にするようにと通達が入る。わたしは紅毛人と窓の外を眺めていた。愛奴、どこかの港を指差し、わたしの顔を見てパアル・ハァバァと発声した。わたしもパアル・ハァバァと続けて発音した。外人は満足そうに頷いた。

そんなことをやってる間に、わたしはハワイに到着していた。「わたしはついにハワイに来たのだなぁ」とボンヤリ思った。そして荷物をまとめて歩き始めた。
わたしは小さい荷物を持ってきていたのだが、それを受けとるべく、ベルトコンベアのところに向かった。アングロサクソンの人は荷物がないからと言い、わたしの手を握りハブアグッドステイと言ったので、オレモハブアグッドステイと言った。愛奴はわりとイイ奴だった。

荷物はゴミのようにガコガコと出てきたので、わたしはそれを手に取り歩き始めた。ここから出て、お取引先のむきたまご君がいなければもうお手上げである。ちなみに申し遅れていましたが、わたしはこのとき足首を捻挫していた。自宅のロフトから降りたときにグネとなったのであった。足首に爆弾を抱えたまま、税関あたりを出る。

むきたまご、むきたまご、むきたまご…むきたまご、いた。レッツノートを手に持ち、きょろきょろと挙動不審な動きをしている。愛奴、飛行機取り間違いにつき6時間くらいここで待っていたはずである。ご苦労なことであることよ。ノートパソコンを手に持ち、まるでオタクのようだった。彼とこれから5日間、一緒に過ごす。わたしはゆっくりと近づいていった。
むきたまごはわたしを認識し、満面の笑みでアロハ~と言い放ち、ケータイをフライトモウドにしましたか?などの確認をした。わたしはまだハワイに来たような感じがなくぼんやりとしていた。

とりあえずむきたまご君に会えたので何とかなりそうな気がしたが、今日のスーパーミッションであるところのエグザイルとの融合が残されている。まずは辺りを見回してみたけど、エグザイルのような人物はおらない。

とりあえずわたしは会社のケータイの電源を入れ、エグザイルに電話をすることにした。まずはハローそしてアイムアイルテンノウズそしてウェアーアーユーナウこれしかない。よしいける、むしろいかねばならない、わたしは震える指先でダイヤルをする。

変な呼び出し音が鳴った後、Helloみたいな声が聞こえ聞こえる。YES、ここまでは予想通りだぜ。わたしは勇気が出た。そしてハローアイムテンノウズアイル、アイアライブドアトザゲイトナウと、わたしなりの流暢さで答えた。これは中2のNEW HORIZONで習った例文そのままだから間違いないはずだと、気持ちが大きくなっていた。しかし事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、そこには予想だにしない展開が待ち構えていた。

こんにちは~ヨシムラサン~ディーンです~着きましたか~?
僕はいま駐車場にいるのですぐに行きますね。HISのトロリーバスの乗り場ですよね?

オィィィィィ日本語めっちゃうまいやんけ。
わたしはNEW HORIZON仕込みの英語が大変恥ずかしくなり、そのような過去をすぐに忘れようと思ったその瞬間、はっと気がつくと前方より長身の色黒の男性がやってくる。

ともあれ前方からやってくる男性こそがエグザイルあらためディーンであった。とても背が高く、そしてハンサムだけど、エグザイルみたいって聞いてたのに全然ちゃうやんけ。まぁとにかくわたしたちはこのくそったれなほど広いこの世界で出会えたことに感謝した。

(1日目②)

ディーンへのお土産にダイソーで浮世絵のお箸買ってきました!むきたまごが自慢げにそう言った時、向こうのほうからディーンがやってきた。

馬鹿のように広大でくそったれなこの世界でディーンに会えたわたしとむきたまごは、ダサい日本人風にユラユラと近寄り、ニヤニヤと微笑みながら挨拶をした。
先般お伝えしたとおり、ディーンはとてもイケメンであったのだが、何分ちょっとだけ、本当にちょっとだけど、前髪のほう、キテイタ。だけどわたしはぜんぜん構わないと思っていた。これから6日間全力で世話になることであるし、そのような一面は取るに足りないことであるからだ。それに異人さんはそのようなことは気にしないとも聞いていた。

わたしたちはディーンの車に乗り込み、さっそくシェラトンワイキキというホテルへと向かった。ハワイには、外人がいっぱいいた。行き交う車の中にも、外人。道行く奴等も外人、おすまし顔でトコトコ歩いていく犬も外人だった。椰子の木もあった。空がとっても明るくて、空気はサンタンローションのような甘い香りがした。

運転しながらディーンはとても言いにくそうに切り出した。
というのもホテルの部屋。わたしとむきたまごで一部屋しかリザーブしていないと言う。助手席に座ったむきたまごはギョッとした顔で後部座席のわたしを見たが、わたしは外を眺めたまま「構わん」と告げた。
実はわたしはディーンと日本にいるときに電話で話しをし、その際ディーンは初めてわたしが若い女だということを知り、「こりゃまずいな」と思ってわたしにその旨打ち明けていたのだ。先週結婚したばかりのむきたまごは少々まごついていたがほって置いた。わたしはビッチを決め込み、車の窓を開けて鼻歌を歌っていた。

ホテルはまったくすばらしく立派なホテルであった。きっとわたしの社会人人生で一番のラッキー出張だと思った。「じゃあさっそくだけどまず部屋に行って30分したらビーチでサーフィンのレッスンをするお」ディーンがわたしたちにそう告げた。わたしたちは荷物をコンシェルジュに任せたまま、部屋へと案内された。

部屋は24階という高層階だった。白を基調とした広くて開放的なお部屋だった。窓からはダイヤモンドヘッドがあわれもなくその姿を晒し、ビーチには寄せては返す波が白く輝き、オレンジ色のパラソルが太陽の光を一身に受けている。
こんなところに来るだなんてな、わたしは不思議な気持ちがした。だいたい南の国はそんなに興味がなかったのに。
大学生のときに沖縄に旅行に行ったときも、熱中症のような症状となり、ほとんどの記念写真に冷えピタを貼ったまま納まったわたしである。低血圧ゆえ暑い国は苦手だと思っていたが、ハワイは日本よりもずっと過ごしやすい気候だった。風がさらさらとして気持ちがよい。髪の毛が風にたなびいて、ねむい、、、

ヨシムラさん、行きましょう!振り向くとむきたまごがすでに水着姿となっていた。ああそうだ。わたしはハワイに居て、これからサーフィンのレッスンに行くんだった。ホテルの部屋から浜辺へ行く。
ちょっと近所にヨウグルトを買いに来ました的なわたしと水着姿のむきたまご、それからビジネスカジュアルなディーンはそろって砂浜に或るサーフィン教室へとやってきた。

ティーチャーらしき色の黒い外人が陽気にディーンに何事かを話しかけ笑いあう。おおこれぞ外人の挨拶であることよ。そしてわたしとむきたまごを紹介し、さっそくマンツーマンのサーフィン教室が始まる。
むきたまごはテンションの高いティーチャーに習いだんだん沖へと進んでいった。

わたしはまぁ付き添いみたいなもんなのでカメラを持って浜辺から彼らを目視していた。ディーンも浜辺に居たけど、いつの間にかどこかに消えていた。
つぎの段取りでもあるのだろうか。わたしは沖へ向かったティーチャーとむきたまごをぼんやりと見ていた。

思えばハワイだというのに水着すら持ってきていない。水着なんて、この90・50・90の貧弱な肉体では恥ずかしくて着れた物ではないし、いちおう仕事であるという立て付け上、水着着てキャッキャするわけにもいかないと考え、ハワイの癖に水着を持参せずにやてきたのだ。

でも砂浜があまりにも気持ち良さそうだったので、靴を脱いで少々波打ち際まで近づいてみた。水がとても透明で水底の白い砂がよく見えた。波の音もとても澄んでいる。わりと大きな波がやってきて、わたしの足とサンダルを包んでゆく。なんていい気持ち。波が身体に当たるのすごくキョッチエエ(きもちエエ)。

しばらく波と戯れるていると、そんなかわいいわたしの隣に誰かがやってきた。
なんだよと思い横を見ると、水着姿にキャップを被った精悍な男性がいた。
抱けよ!そう絶叫したくなるほど、その肉体はまるで彫刻のようだった。
そしてその男性はわたしに向かって笑いかけてきたものだから、わたしは向こうさんが外人であることも加味してホーミタイ!なんだっていいじゃない!とTUBE的な感じであ~夏休み的な感じで絶叫しそうになったけど、あわれその正体はディーンだった。
キャップを被ると貴方、唯一のウィークポイントである頭髪問題のほうお隠れになり、またビジネスカジュアルでは計り知れなかったその肉体美に完全に魅了された。

ほんとにビックリして声も出ないほど見とれた。
するとディーンは「むきたまごさんを近くで撮影してキマスネ」と言うので
「お、おう…」と挙動不審に答えることしかできなかった。
あんなに一瞬でノックアウトされたのは初めてさ。
わたしは、わたしは、不良が好きだと思ってたけど、サーファーも好きだったんだ!

その後はむきたまごはさておきディーンばかりを目で追った。
むきたまごは一生懸命がんばって最終ちょっとだけ波に乗れたらしいが、わたしはその一瞬を余裕で見逃していたが後悔はしていない。
日本に帰ったらすぐに退職願いを書き、そしてハワイでお土産物でも売って暮らそう、そんなことをぼんやりと考えていた。サーフィン教室はそんな感じで終わっていった。

一度むきたまごと部屋に戻り、なんやらかんやら仕事をし夕食の時間になった。またもや浜辺近くのレストランへ。夕暮れ時のワイキキはしっとりとしていて美しい。通り過ぎる人も皆満たされた表情をしている。会社帰りの自分とは月とスッポンであることよ。本日二度目の退職願について考える時間を持った。

おいしい食事をごちそうになりながら、日本の心霊話を潤沢にした。
好きな男性の前では緊張してしまい、つい霊の話をしてしまうわたしであるが、微笑みながら霊の話に付き合ってくれるディーンってなんて素敵な男性だらう。ハワイ1日目の夜はフワフワと更けてゆく。ディーンに夢中だった。

(1日目の夜と2日目)

恋に恋焦がれ恋に泣いたハワイ1日目の夜。食事を済ませてむきたまごと部屋へ戻る。二人して、ハワイのことや仕事のことはさておきDaneの良いところを朗々と語り合った。むきたまごはサーフィン体験の際、沖でのDaneがいかに素敵だったかを語りつくし、わたしは職権乱用をがんばり、DaneとLINEで連絡先を交換したことを自慢した。
Daneが素敵過ぎるから、わたしたちずっとDaneの話をし続けて、そのうちティーネイジャーのように眠った。Daneの夢を見られますようにって良い子で眠った。

翌朝目が覚めるとそこもまたハワイだった。
窓を開けて波の音を聞いて、そういえば昨日ハワイに来たのだなぁと思った。2日目もよく晴れてすがすがしいハワイだった。

二人はおよそ15分くらいで準備を済ませいそいそと待ち合わせ場所のフロントへ。OH!マイ!今日もイナフすぎるDaneがそこで微笑んでいた。

今朝の朝ごはんはパンケーキ。
どうやらハワイのパンケーキはオムレツといっしょが基本的なセットらしく
あの「ぐりとぐら」も「虎何匹分ですかね!?」ってビックリするくらいおうきなオムレツにバターとメイプルシロップにまみれて夢も見られないほどのパンケーキがやってきた。
主食としてのパンケーキはマジで鬼だったけどDaneに嫌われたくない一心で
今シーズン一番のガッツを出して食べた。
しかしなんとか食べ終わろうとするころ、太った女給がアップルパイを持ってきて、Daneが「このアップルパイは予約しないと食べられないんですヨ」と微笑みながら言った時は、潤沢に気絶するかと思った。アップルパイはテイクアウトとした。

その後おうきな車に乗り込み、サンディービーチという素敵な名前のビーチへ。ちなみに車を運転するDaneもOH!マイ!日付変更線のアッチ側で優勝レベルだった。サンディービーチは牧歌的な名前とは裏腹に毎日救急車がやってくるほど危険なビーチらしい。
確かに波がホテルの前とは段違いである。すこし怖いくらいの波であった。
Daneはサーファーである関係上、波が来るたびにソワソワとしていた。

そのあとはあの有名なハナウマベイへ。
2人は水着姿になってかわいいお魚を見に行ったけど、わたしはご存知のとおり水着がないので砂浜にバスタオルをひいてボンヤリとしていた。
椰子の木が見える。目の前には青い波と白い砂浜。
アアちょっとだけ、ちょっとだけネムイ。時差ボケですねコレは仕方ない。
ゆっくりと横倒れしてゆく。砂の上にそっと横たわる。あったかい。
なんとなく甘い香りもする。英語も聞こえる。ハワイですからね。。。

いつの間にか砂の上で変死体のように眠っていたらしい。
それに目覚めが最高だった。Daneが変死体を検死しようとしたところに
わたしが白雪姫のように目覚めたものだから、二人はまるでもう恋人同士以外の何者でもなかった。むきたまごがジェラスな顔で(当然Danへのジェラス)見ていたけど気にしなかった。

そのあとはハンバーガーみたいなヤツを食べて、夜はディナーショー的なものを見てそのあとはショッピング。わたしはディナーショーで潤沢にビイルを飲んだ関係上ヴィヴィアンウェストウッドのお店でド派手な財布を買い果てていた。円安のためぜんぜん安くないむしろ高かったけど後悔はしていない。

部屋に戻り、今日も今日とてむきたまごとDaneのすばらしさについて語り合い、まだ二日目なのに「帰るときにはきっと泣く」とセンチメンタルになり
さよならの時には手紙を書いて渡そうと決めた。
まだ二日目なのにわたしたち恋が脳によく効いて完全にアホスケになっていた。つづく


(2日目②)

2日目の朝は早かった。今日はアサイーボウルを食べ、ダイヤモンドヘッドに登り、マラサダで御馴染のLeonard`s BAKERY、カキ氷で御馴染のマツモトシェーブアイスに行き、プライベートビーチで海亀見学などを嗜んだ後に
パイナップルで御馴染Doleが経営する農園ならびに巨大迷路にゆき、
極め付けにヅラで御馴染の小倉さんが経営するラーメン屋に行くというタフなスケジュールが組まれていた。
また裏イベントとして手紙に似顔絵を描くためにDaneを潤沢に隠し撮りするというのもあった。

ホテルのフロントで待ち合わせたDaneは今日も今日とて潤沢だった。
今日は最初からカジュアルな格好をしていて貴方、まるで有(ダルビッシュ)のようよ!
わたしたち、アサイーボウルというお洒落なものを食べに行く。
ロイヤルというお高いホテルのそばにそのカッフェがあり、Daneはよく朝ごはんにこちらに来るとのこと。
店の女給もDaneに話しかけられて大層デレデレしているではあるまいか。
わたしもこの店で働いて、Daneが来ればすぐにデレデレしたいと思った。
アサイーボウルは本当においしかったしコーヒーもよく合っていた。毎朝食べたいと思った。

その後ダイヤモンドヘッドへゆく。ダイヤモンドヘッドって結局何なのだろう。まぁ穴ぼこですね。山登りみたいな感じで穴ぼこの淵の高いところまで行って素敵な景色を楽しむ感じのところです。

ダイヤモンドヘッドの一番上まで行くにはだいたい1時間半くらいかかったような。途中トンネルやら心臓破りの階段やらあり、結構いい運動になりましたわ。外人のおじさんが「ヒィー!ヒィー!ヒィー!オー!ジーザス!ヒィー!OH MY GODォォォォ」と喘ぎながらわたしの後ろを登っていた。総じて外人は根性がないのだと思った。

その後わたしがマラサダを食べたいと言っていたものだから、Leonard`s BAKERYという店にゆく。
ただしわたしに至ってはおりしもそのころ潤沢にも余りあるほど眠気が押し寄せており、店に到着したころにはあげパンなんてマジどうでもイイ、みたいな気持ちになっていたけど、Daneに嫌われたくない一心で夢うつつのまま何かを注文、テイクアウトした。テイクアウトしたけど、ぜんぜん一口も食べずにまた後部座席で潤沢に眠っていた。その間むきたまごはDaneを独り占めしてストリートファイターの話をしていた。

次はお待ちかねのマツモトシェーブアイスへ。結構な行列ができていたけど
Daneとの何味にしようかしら的なカンバセーションが楽しかった。
わたしはレインボーにした。まぁ普通のカキ氷なんだけど冷たくておいしい。

その後海亀をすごく近距離で見たり、巨大迷路で迷子になってDaneが助けにきてくれたりヅラの小倉さんの店でラーメンを食べたり花火を見たりした。とにかくこの日は眠くて仕方なかった。部屋に帰ってからは、むきたまごが上手に隠し撮りしたDneの写真を見て危ない人のようにDaneの似顔絵を描きまくった。ベッドの周りやベランダにはDaneの似顔絵が散乱していた。完全にお近づきになりたくない人だった。

夜が更けて似顔絵も飽きてきたので、ベランダにあるテーブルに座り
波の音を聞いていた。日本であっちへ行ったりこっちへ行ったり、驚愕したり、恐縮したり、酒を飲んだり飲まれたりしているときにも、ハワイではこんなにゆったりとした時間が流れていたのだと思うと不思議な気持ちがした。やはり退職願いのほう、書かせていただきますと思った。

YoutubeでTUBEでも聞くかと思いパソコンを見ると仕事のメールがじゃんじゃんきている。
あーもうこんな素敵な夜に野暮な真似はやめて欲しい。
あ、でもハワイで夜23時だから日本は16時くらいか。
忙しいだろうな…わたしなんてハワイで申し訳ないな…と思いつつも、
前田が(TUBEの)「It's Alright!なんだっていいじゃない!」
そう言うからわたしも何だっていいかと思うことにした。

(いきなり4日目)

ハワイにやってきて4日目の朝。今日はホテルの周りを探検したりする仕事だけだったので、わりとゆっくり9時くらいに目覚めた。明日の夕方には日本に帰国する。今日は最後のハワイ滞在だった。

朝はホテルの中のKAI MARKETというビュッフェにて朝食をよばれる。
野菜や果物がいっぱいあり、また開放的なホールはビーチからすぐそこで
小鳥が足元まで寄ってきて、鳥キライのわたしは脅え足を竦ませていた。
朝食は気軽ながらも大変イナフだった。野菜を選んでおじさんに渡すと
ササッとオムレツにしてくれるサービスは良いなぁと思った。
ハラペーニョをたくさん入れてもらったんだけど、そのポテンシャルを若干舐めていたようで、一口食べるや否や「ゲッゲッゲッ」と鬼太郎のような感じになった。
Daneは果物をたくさん取って、そのあとおかずを食べていた。
おそろいの低血圧がうれしかった。

その後シェラトンワイキキの展望レストランへ見学にゆく。
ワイキキの海やダイヤモンドヘッドが潤沢に見える素敵なラウンジであった。そこで支配人的な方を紹介される。Daneほどではないにしろ何分ナイスガイだった。ラウンジは夜も素敵らしい。

その後ウクレレレッスンに行く。
ここでわたしとむきたまごはハワイで二度目の恋に落ちる。
Gavin…ウクレレが上手で笑顔が素敵なGavin。
フラの腕前もプロらしく、髪の毛は腰ほどまでにもあり、笑った顔がとっても眩しかった。そして何よりもチラリと見せる反抗期っぽい雰囲気に二人は夢中になった。お店でウクレレのレッスンを受けている際に客が来たとき、Gavinは「チッ!」と舌打ちをして適当にあしらい、其れで居て8万くらいのウクレレを売りつけていた。
俺は、俺は、仕事ができる不良が好きなんだ!

Gavinから何気ない感じで名刺を受け取ることに成功した二人は、もうDaneとGavinのハザマで心揺れ動いていた。二人昨日までは頭の中をDaneで埋め尽くしていたのに、先ほどGavinに出会ってからは、その残虐性にも強く憧れ、「Gavinに故郷の村を焼き払われたい」「Gavinに敵討ちしに行って一瞬で返り討ちに遭いたい」「Gavinに『アンラッキーだったな』って笑いながら言われて死にたい」などの欲望をむき出しにした。
どうしてハワイはわたしたちをこうも好色者にするのだらう。

その後恋に疲れたわたしはベッドに横たわり、YoutubeでGavinの演奏する「ハウルの動く城」を聴きながら眠っていた。すごくふんわりとした気分だった。このままずっとこうやってゆらゆら眠っていたいと思った。

明日の今頃には、もうハワイから出発してるんだ。
終わりの始まりを感じながら、寂しくも甘い眠りに落ちていこうとしていた。

「ヨシムラさん!起きてwww起きてェェwwww」むきたまごの声が聞こえたのはその時だった。
俺は殺すと思った。アンニュイなこの惰眠を邪魔するヤツは殺すと思った。
しかしその後俺はもっと強く殺すと思う羽目になった。
なんとむき卵のヤツ、ベランダに鳩を集めて賑やかに集会を開いているではないか。異常にテンションが高い。しかもよく見てみると昨日わたしが残したマラサダを餌に鳩を募っている。殺す、殺す、と思った。俺は鳥が嫌いと言ったのになぁ。

鳩を追っ払ってから再度惰眠を貪る。なんだかもう出張とは思えないほど昼寝をした。わたしに鳩を追っ払われたむきたまごは失意のうちにDaneとレイ(お花のネックレス)作りをしていたらしい。

夕方になり、ようやく起き出したわたしは突如財布を握り締め、大胆な水着屋へと向かった。なぜだかハワイの海で突然いますぐ泳ぎたくなったのである。
前日にドンキホーテでダッサイ水着を1500円で買っていたのだが
風呂場で着てみるも、イマイチテンションのほう上がるには至らなかったのでここはひとつシェラトンの中にあるお高い水着屋にてどうしようもないほど大胆な水着を買おうと思ったのだ。

水着屋に行くと太陽のKomachi Angel的な水着が潤沢にあった。わたしはあの時寝ぼけていたのかなぁ。もう夕方なのに、これから水着を着て泳ぐだなんて、しかも水着を買うところからのスタートですよ。スロースターターにもほどがあるだらう。でも俺は気づけばわりといいお値段の水着を買っていた。今では後悔している。

ただそのときはもう頭がTUBEだったので、すぐに部屋に戻り、むきたまごに「海に泳ぎに行こう」と誘い上げた。むきたまごはビックリした顔をしていたが、わたしがもう水着に着替えて待機し始めたので仕方なく準備を始めた。

もう日は傾きちょっとってゆーかだいぶ寒い中、二人はビーチへ出た。海へ入る。寒い。出る。プールもちょっと入る。寒い。出る。終了。
水着は1万5千円くらいしたことを己の反省も含め明記しておく。

(5日目の夜と6日目)

ハワイ最後の夜がやってきた。昨日に続き、ベランダで夜風に当たっていた。
昨日はTUBEを聴いていたけど、今日はGavinのHawl's Moving Castleを聴いていた。Daneへの手紙も2人で書いた。       
明日の今頃はもう日本に向かう飛行機に乗ってるんと思うと不思議な気持ちだった。
部屋の中ではむきたまごがカチカチとパソコン相手に仕事をしている。
ベランダ越しに二人、すでに少しずつ思い出話を始めていた。
最後の夜はハワイにやってきた日と同じく甘いサンタンローションのような香りがした。

ハワイ最後の日、目覚めるとシャワーの音がする。
どうやらむきたまごが海から帰りシャワーを浴びているらしい。
愛奴、昨日は4時頃まで仕事をしていたのに6時頃に目覚めてビーチへ行っていたらしい。

わたしはぼんやりと目覚め、またベランダへと向かった。
最後の日も、ハワイはとても美しかった。
昨日買っておいたコナコーヒーを飲む。
なんで明日には東京に戻っているのか理解が出来なかった。
まぁいい。すぐに、すぐだ。退職願いを書いてハワイの御土産物屋で働き始めるのはすぐだ。

二人はDaneに大量のお土産を買ってもらっていたのですでにトランクは満タンであったがなんとか、なんとか詰め込み、部屋を出る。さよなら、またハワイに来ることはあっても、こんなイイ部屋はきっと泊まれないだらう。名残惜しい思いで、ドアを閉める。

フロントで待つDaneは最後の今日まで大変イナフであった。昨日と同じkAI MARKETにて朝食を摂る。
エッグベネディクトも、オムレツも、フルウツめらも、潤沢に食べた。
そしてそこであの手紙をDaneに渡す。
Daneは「こんなこと初めてだお…」そう言って手紙を開き、読み始める。
わたしは「またユーレイの話してね」と書いたのだけど、
Daneは「幽霊って漢字でも読めっし!」と言ったので、「ゴメン」と謝っておいた。

そして三人はホノルル空港へ。Daaaaaaane!!!と絶叫を繰り返し、その割りにはしっかりと記念撮影もしていた。
さよならDane。またすぐに来るけど。そして必ず結婚しよう。
そんな風に思いながら手が千切れるほど振り、JALのゲートへ。。。
と思ったらJALのゲートは我々の歩いていった左側ではなく右側だったので
またDaneの前を通るという恥ずかしいこともあった。
飛行機に乗り込む前にバーキンへ行き、涙を流しながらハンバアガアを貪った。
僕はこちらに移住しようと思います。
むきたまごのヤツ、ポテトをくわえながらそんなことを言うものだから全く同意である旨、伝えた。ハワイ、すごい。わたしたちの人生は音を立てて動き始めた。

飛行機に乗り込み、離陸。すぐに小泉今日子の「あなたに会えてよかった」を聴き始めた。まさに今これを聴かずにお前、どうするのか。
思い出が、星になる…♪
ほんとだよ、と思いながら窓の外を見たけど、まだ夕方だったので星はなかった。だからすぐに眠った。ハワイと退職願のことを思いながら、日付変更線のほう、越えた。

午後22時、日本に到着すると、馬鹿とゴミのようなにおいがした。
oops!こんなところで暮らせないよ!OKすぐに退職願いを書こう!
ただでさえ帰国してしまい憂鬱なのに、もう仕事のことなんて1ミクロンも考えたくないのに、上司からメールもきている。「おつかれさん。電話ください」アア!勘弁してください!そう思いながら電話をする。上司はわたしを一通り労った後朗々と「異動です」と言った。
は?
「ハワイ支社ですかわかりました」そう燃え上がるわたしに水をぶっ掛ける上司。WEBのチームから商品プロモーションチームへの異動です、とのこと。
わたしは帰国早々混乱に混乱を極めたのだが、まぁ商品のほうの上司もとても愉快な女性だったし商品チームの飲み会もとても愉快であったので、これもまぁエエかなと思っていたのだがその一ヵ月後、上司に呼び出され、その上司の唇は一ヶ月前と同じように「異動です」と発声した。
は?「ハワイ支社ですかわかりました」そう燃え上がるわたしに水をぶっ掛ける上司。今度はコーホーというところに異動とのこと。コーホーって、あの、アレか。

とまぁそういうわけで、わたしはコーホーという部署に異動になったのだが、そのお話はまた明日に書く。

おわりに

そんな風に毎日のことを書きしたためるくらい、最高の出張でした。わたしは結構いろんなところに出張する仕事だったのですが、やはりこのハワイ出張は超別格の最高オブ最高の出張でした。私の場合は完全にラッキー出張だったけれど、自ら仕事を作っていきたいとこにいけるくらい、頑張って仕事に打ち込んでみてもいいかもしれないよ。仕事、結構いいこともあるからがんばろう!


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