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監督と原作者が本音で語るトークショー「ミスミソウ」inシネマスコーレ

2024年11月3日 名古屋シネマスコーレで「ミスミソウ」の原作者押切蓮介さん、内藤瑛亮監督、押切さん原作の「サユリ」の白石晃士監督、そして「ミスミソウ」のオーディションにも協力した女優の久保山智夏さんが司会者として登壇しトークショーが開催されました。

実は先日…

白石晃士監督はシネマスコーレの常連とも言える映画監督で先月もダリオ・アルジェント監督を追っかけたドキュメンタリー「panico」と「デモンズ」のトークショーに登壇。その際に今回のトークショーの告知をしていましたがしていましたがその時衝撃の告白が…

白石監督は「ミスミソウ」が好きじゃない!

とそのことを共通するプロデューサーに伝えたら、そのまま内藤監督にも伝えられたという気まずい空気がながれそうな二人とそれを見守ることになった原作者が同席しての異色のトークショーとなりました。

両監督のバトルはあるのか!?

「ミスミソウ」の物語は…

押切蓮介原作作品初の映画化の裏には…

父の転勤により東京から田舎の中学校に転校した野咲春花は小黒妙子とつきあっていた相場晄と仲良くしたことから妙子のグループからいじめのターゲットにされる。やがて春花が不登校になると元々いじめのターゲットだった佐山流美がまた自分がいじめられることに恐怖を覚え、春花を逆恨みし、妙子のいじめグループといっしょに春花の家を放火する。
春花の両親は焼死し、妹も酷いやけどで瀕死の重傷になり、すべてを失った春花はいじめグループに復讐を開始するが…

久し振りに観たらはなりハードコアなグロテスクな描写もあり、その最中にも笑いの要素もあり、青春映画の側面もしっかりあり、なにより映像的にも美しいというかなりの傑作でした。
白石監督はこの傑作にどんな難癖をつけるのか?

「ミスミソウ」制作の裏側

原作者の押切蓮介さんのところにははじめに井口昇監督でという提案があったらしく、それは却下したと。で内藤監督でどうかと言われOKを出したそうです。
押切さんは「コワすぎ!」シリーズのファンでそのプロデューサーからのオファーだったのでOKしたと。
内藤監督によるとある忙しい時期にプロデューサーから呼び出され、映画業界の悪口をさんざん話したあと、撮影まで1か月くらいしか準備期間がないけど、「ミスミソウ」の監督をしてくれないかと相談を受けたそうです。
内藤監督は原作のファンであったがゆえに準備期間の少なさに躊躇したものの、唯野未歩子さんの脚本がすでにあり、それがすごく良かったことと、山田杏奈さんのキャスティングが決まっていてそのオーディション映像を観たら良くて監督を引き受けたそうです。ちなみにそのオーディションの相手役を久保山さんがしていたとか。久保山さんもやっぱり山田さんが一番良かったと。
唯野未歩子さんといえば「三年身籠る」で原作・脚色・監督も務めている人ですが井口昇監督の「クルシメさん」「恋する幼虫」にも出演していたので井口昇監督もきっとやりたかっただろうなあと思います。
でもあの時期、バカみたいなコメディホラーを連発していたので押切さんはNGを出したのかも。
3月頃の撮影で雪が足りなかったり吹雪いたりで撮影は大変だったとか。
それでも少年たちと一緒の宿でいろいろ話す機会があり、マニアックなホラーを観たと「シャイニング」の話をされたりで楽しい日々だったとも。
山田杏奈さんが今や売れっ子で「ゴールデンカムイ」でまた雪の中で撮影しているの見て感慨深いとか。

ラストが原作と違う


原作ではおじいちゃんの回想でしんみり終わるけど、映画ではアレンジが咥えられているとか。
押切さんはそれに関して、原作よりいいラストで原作のラストもこうすれば良かったと思ったと。
内藤監督は長い連載の流れで読むと原作のラストがいいけど、2時間という時間内で展開する映画ではちょっと上げる終わり方が必要だったと。
内藤監督と押切さんの顔合わせは撮影現場が最初でその日は流美の最期の壮絶な撮影だったとか。
雪の中の撮影はこの作品のような血のりの多い作品では大変で血の付いた雪の入れ替えが大変だったそうです。

白石監督が気になったところは…

事前にこの作品が好きではないと公言していた白石監督、その理由を聞かれるとこう答えました。
「警察は何をしているんだ」と。
映画の中であれだけのことが起きているのに警察が動かないのはおかしいと。そういうところで引っかかると映画に没入出来ないと語りました。
「『岬の兄妹』とか何が名作だよ!この世界には生活保護はないのかよ」
と警察以外にもそういう社会の機能としてあるものが描かれないのがひっかかるとダメみたいです。
そこで原作者の押切さんは原作にも警察の介入が描かれていなかったので映画にも入れられなかったのではと助け船を出していました。
そんな感じで両監督のバトルまでには発展せず和やかに「ミスミソウ」のトークショーは終了しました。

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