SAP ERP 各モジュールの解説

今まで、何度も、私のブログではSAPについて言及してきました。「SAPって、結局なんだよ!」と気になる方のために、SAPの各モジュールについて、説明したいと思います。

FI(財務会計)

会計には、3種類ほどあります。うち、財務会計と税務会計の担当が、FIです。上場企業の場合は投資家への公開情報として、また税務当局への納税のために決算書を作成します。非公開企業の場合は税務目的だけです。この、決算書を作成するための元データのことをSAPでは「元帳(Ledger)」といいます。今のSAPでは元帳を複数作成することができるので、日本会計基準、米国会計基準、IFRSなど複数の会計基準に対応できます。

FIは、数あるSAPのモジュールの中で最も簡単であると思います。しかし、全ての会社が財務会計は必要とするので、重要なモジュールです。PPなどは製造業しか必要ありませんが、決算書を作成しない会社は存在しないからです。

CO(管理会計)

自社の経営幹部や、管理会計担当者が業績評価をするためのモジュールです。そのため、会社によって要件がまったく異なります。FIの場合は会計基準によってある程度は固定されますが、COは自由なのです。そのため、昔はSAP COとBWのみで管理会計データを作成している会社が多かったのですが、今や、SAC、Oracle EPM、Tagetikなど様々なEPMツールも出ているので、管理会計のプロフェッショナルになりたいならば、SAP COだけできるのでは駄目です。拡張的に、色々なツールで管理会計を実現する手段を勉強しましょう。

SD(販売管理)

文字通り、モノやサービスを販売するために必要なモジュールです。このモジュールで難しいのは、「価格設定」と「輸出」です。価格設定は条件テクニックというかなり特殊なカスタマイズ設定が必要です。条件テクニックで価格設定を実現できない場合はアドオンになりますが、「推奨しません」。なぜならば、とんでもない複雑なアドオンになる可能性が高いからです。輸出は、輸出管理規制や、インコタームズなどに精通している必要があります。

MM(購買・在庫管理)

モノやサービスを買ったり、在庫として管理するためのモジュールです。範囲が広い上に、倉庫管理システムとも連携するため、比較的難しいモジュールです。主要モジュールの中ではPPの次に難しいと思います。最近だと、Aribaとの連携も出てきています。倉庫(物流センター)など、現場の知識も必要になってきます。

PP(生産管理)

主要モジュールの中では、おそらく最も難しいモジュールです。工場における生産管理を司るモジュールです。生産長期計画の作成や、MRP、製造の実行、生産実績の管理など、非常に幅広い範囲がある上に、MESなどとの連携もあるため、マスターするのは非常に難しいと言えます。逆に、PPをマスターすれば、市場価値は高くなると考えられます。カスタマイズ設定だけではなく、工場の業務について一通り詳しくなっている必要があります。

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