半導体製造装置を巡る米中の戦争

5月21日の日本経済新聞13面に面白い記事があった。

アメリカ政府は中国の半導体製造を規制するべく、半導体製造装置企業に、中国企業への保守サービスをやめるよう働きかけた。これを受けて、アプライドマテリアルズやラムリサーチなどの大手企業が保守サービスの人員を中国から引き揚げた。半導体製造装置は「売って終わり」という単純な話ではない。半導体工場は一般的に、24時間365日体制で稼働する。製造装置が1つでも動かなくなれば、1日100万ドルの損失が出ることもある。このため、装置メーカーによる保守は必須だ。たとえば電子回路のパターンを焼き付ける露光装置を製造するオランダのASMLは、アフターサービスの人員を世界で1万人抱える。何千ものスペア部品を用意し、整備にかかる時間を極限まで短くしている。だが、中国市場は巨大であるため、抜け穴を使ってでもサービスを提供する企業もある。エステベズ米商務次官は、オランダと日本を念頭に「同盟国にも保守をしないよう働きかけている」と語気を強めた。しかし、これには反発もある。「米企業も請負会社を使って保守サービスを続けている」というわけだ。

日本経済新聞の記事を筆者が抜粋し要約

中国の半導体製造装置市場規模は、2023年でも世界の30%ほどを占めている。
※以下のリンク先参照

この巨大市場を前に、「保守サービスをやめろ」と言っても、なかなか難しいだろう。旧ソ連とは異なり、中国市場は儲かるとわかっているのに、放っておくことは難しい。色々な抜け穴を見つけては、サービスするだろう。流通ルートだって、第三国経由で輸入することもありえる。もはや、コマツの建機のように、遠隔から稼働停止するしかないかもしれない。そのかわり、アメリカ政府が製造装置メーカーに補償をするべきだ。そうでないと、製造装置メーカーもたまったものではないだろう。

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