生き残る製造業の特徴

日本の半導体は、昭和時代には世界シェアの半分を占めていた。しかし、今は10パーセント程度のシェアだ。これは、様々な原因が考えられるが、基本的に原因は2つ考えられる。

・半導体は市場が大きい
・比較的製造方法がシンプルである

まず、市場が巨大である。そのため、韓国や台湾の企業もこの巨大市場を攻めてきた。

SMCという超優良企業がある。この企業が優秀なのはもちろんだが、利益率30パーセントを出せるのは、ニッチ市場ということもある。空気圧制御の機械は、半導体ほど市場が巨大ではない。そのため、韓国や台湾の企業が参入してもウマミがないのだ。

次いで、製造方法がシンプルであることだ。これを読んで戸惑った人も多いだろう。半導体は、シリコンのかたまりをカットして平面にする。そこに光をあてて回路を成形したり、細かいチップへとダイシングしたりする。工程数は多いものの、実は重要なのは半導体そのものよりも、製造装置と部材だ。製造装置と部材さえあれば、あとは資金力勝負のところがある。実際、半導体製造装置は韓国や台湾は手出しできていない。半導体そのものより、半導体製造装置のほうがつくるのは難しいと考えられる。ASMLはドイツのカールツァイス製のレンズを使っている。このレンズは意外とつくるのが難しく、日本とドイツによる寡占である。
※不思議なことだが、ロシアは核兵器はつくれるのに、レンズはつくれない。もちろん、瞬間風速的に単品だけつくることはできるかもしれないが、大赤字になるので意味がない。兵器にもレンズはあるはずなので、どのようにしているのか気になる。商用以外はつくっているのかもしれない。

結論を書くと、生き残りやすい製造業は、

・市場が小さくニッチであり、競合が参入するメリットがない
・製造工程が複雑、または多品種であり、高度なノウハウが必要

例をあげると、試薬などがそうだ。実験や医学で使う少量の薬品のことを試薬という。医療薬とは異なる。何万点ものラインナップがないと一人前の試薬メーカーではないので、韓国などは追いつけない。日本では関東化学、富士フイルムなどの寡占となっている。世界ではメルク(シグマアルドリッチ)がシェアトップである。ほとんど日本と欧米企業で世界シェアをおさえている。

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