創作者という人種

 あなたは何かしら漫画を書いているだろうか?多分書いてないが、かと言ってこのマガジン読者が皆1枚絵らしきものも描かない、見るだけ専門とは言えないくらいこの世には、正確にはこの日本には表現者が多すぎる

 漫画家、イラストレーター、動画配信、3Dモデル作成、作曲家、例に挙げられないほど沢山多岐にわたる。

 僕はかつてプロを目指して自己研鑽してきた、だが本職と並行して夢を叶えるための気力と体力がなかった、その結果鬱病で社会から脱落した。

 本来はここで終わりだった。何故なら漫画を描くには絵を描き続けられない、小説家に宗旨変えするには文字を書き続けられないのだ。どう考えても僕は表現者としては終わっている。

 作画のカロリーと、文章のカロリー、どちらも消費者が必要な量を用意できない、体力不足の表現者も名乗れない僕が皮肉なことに夢からドロップ・アウトした後に創作物に因る表現の機会が訪れた

 それこそがアスキーアートという、かつての2ちゃんねる(現在5ちゃんねる?)で隆盛したMSPゴシックというフォントの特徴を利用して絵に見える文字列でほぼ構成されたスレッド群、いわゆるやる夫スレの出現である。

 ここで、私はまず二次創作者としてデビューすることと成る。最初は読み専門だったが、あるどうしても我慢できない状況であった。とある熱狂的なファンを持つそのゲームは複雑な世界観も相まって『原作の設定を無視した改変を行っている』のである。一つや、二つではない、全ての作品がその世界観に関して言い訳を行ってからの創作である

 そこに私は激怒した。ならば、その『創作において不可能とされる難解な設定』とやらを蹂躙してやろう、あわよくば原作者よりも原作に近いものをやってやろうと魂に火が灯ったのだ

 目論見としては大成功した。全12話の4話で原作ファンならば必ず避けて通れない、だが全てのその原作の二次創作者が避けて通る道を正面から、堂々と突破した。そして自分で設定した刊行ペースを前倒ししながら、予定日に最終話への投下を完了させて終えることが出来た。それで恐らく、恐ろしくて聞いたことすら無いが原作者の目にも届いただろう。(本人談では当時二次創作でファンが出来ることを原作者がである自分が出来ないわけがない、と発言していたので遠まわしに聞いたところ『やる夫スレ』も巡回対象であると返答を頂いた)

 これで、一旦僕の二次創作活動は終了した、そもそも本当にやりたいのはオリジナルである。この作品のヒロインを世に知らしめたい、それだけが我が魂の咆哮であった。二次創作にかまけている私に時間はない(そんな体力はない)のだ。

 二作目はほぼオリジナルでまたやる夫スレで行った。このほぼというのは原作みたいな位置づけの商業作品が存在し、かつ他の作者が超短編で放り投げたのを指摘したら『ならお前がやれ』という感じに喧嘩を買ってしまったのだ。しかもジャンルがミステリという辺りで冷静に言って私の腕では扱えないものだったが奇策で乗り越えた、読後の感想や、一見さんの記憶に残る形であったのは何物にも代えがたい収穫であった。

 三作目で正真正銘のオリジナルである。なにせ出てくる版権AA(アスキーアート)は元の作品のキャラの性格も設定も痕跡もほぼなく(イデアイメージのみ採用の理由である)、そしてヒロインは自作のオリジナルAAだけでやりきったのだ

 ここで僕は一つの結論にたどり着いた。僕は成るとか、腕前を付けるとかの以前に『表現者』として生まれ落ちたのだった、と。ゲームで遊んだり、美味しいものを食べたりするがそれはあくまで寄り道に過ぎない。僕は、俺はそう、結局はくそみたいな作品をこれからも作り続ける運命とか、生態の生物なのだと。嫌というほどそれを痛感した

 なお、やる夫スレ創作活動は突如前触れもなく終わりを告げた。Windowsの強制アップデートをマイクロソフトが慣行したためだ。Windows7ではシステムフォント設定が可能であったが、8以降のWindowsではフォントはメイリオになっており、やる夫スレのほぼ大半(99%)がMSPゴシックフォントに依存しており、私の環境では作成が不可能になってしまったのだ

 読む限りに置いては今でも昔の作品を読めるが、だが制作においてはかなり難しいと言うしか無い。だが、AAの様な「自作ではないものを切り貼りし、構図を作ってそれを少量の文章で物語読ませるツール」というのは今の時代誰かが思いつき作り出すものだ。AAに変わる制作ツール、それはマンガ・カ・ケールというPlayStation Vitaでリリースされることに成る

 ただし、そのマンガ・カ・ケールは発表と同時に無期限延期の憂き目にあい、去年リリースされて、アップグレード第2段も半年以上待たされるという地獄のようなオチが待っていたが。

この世界に怨念を振りまく(理想:現状は愚痴ってるだけ)悪霊。浄化されずこの世に留まっている(意訳:死んでない)