僕が人権を得るために

　なんてことのない、いつものソシャゲ、FGOのお話である。厳密には★5サーヴァント確定ガチャ11連がこの間始まったのだ。僕は去年スカディ実装ガチャに（体感的な）大金を注ぎ込み敗北した。

　そして待つこと1年、スカディの復刻はなかった。リベンジの機会は存在しなかった（８/６現在）。だがこれは予測できた。何故なら今年は夏イベントに最強サポートキャスター「マーリン」のピックアップガチャがほぼ確定したのである。（流石にマーリンにスカディをぶつければお互いが食い合って利益の得られる機会を失うから少なくとも1ヶ月、給料が出るまでの範囲内にスカディピックアップは来ないと思われる）

　だからこの福袋召喚ではライダー＆キャスター＆アサシン＆アルターエゴの混成福袋からたった1枚のスカディを引き当てなければいけない。25体の排出される鯖の中から紫式部（アーツ多段ヒット宝具）でもなく、イスカンダル（ライダー全体宝具）でもなく、山の翁（単騎性能トップクラス）でもなく、マーリン（最高のサーヴァント）ですらなく、ただスカサハ・スカディを引かなくていけないのだ。

　僕はこの戦いで、先々月の課金で残っていた有償石１5個をまるまる残していて、コンビニに行く手間はかからなかったが、このまま流されて引いてしまうのは何故か躊躇われた。僕は第２部４章のガチャで見事にアルジュナオルタを単発で引き当てた。その後に復刻サバフェスでも弓ジャンヌも、BBちゃん（★５）も単発で引けた。運が良すぎた。僕は負けられない戦いで勝てたことがない。僕の人生においてどうでもいい戦いではまあ勝てる、だが信念や、誇り尊厳などがかかってる戦いで勝てたことはないのだ。沸騰した頭を覚ますがごとく、まさかのアプリ内配信アニメを視聴するか、という気分になった。……視聴後。

　……尊い。ほぼ理想形のFGOのアニメではないだろうか？型月世界観に熱心にどっぷりと浸ることはなかったが、そんな僕でも分かる齟齬のない、それでいて足りない情報を追加で補完してくれる……いい仕事だ。僕から気負いはなくなった。冷静になった。今は土壇場ではない、何時ものように雑事のごとく片付ける、そんな案件になった。今ここでスカサハスカディを引き当てるのは何時もの単発ガチャ。負ける要素は感じなかった。

結論から言うと、実はアルターエゴを引いた。

　……まあ、こんなものか。常勝でない凡愚は、勝てるゲームにこそチップを賭ける。そんな時でも負けることはある。それが今日もそうだっただけ……だが

まさかの２枚抜き。確率としてはあり得なくはない。だが若くなくなった勝負勘だからこそこの結末は意外だった。そう、僕は勝ち慣れてないからこその勝負どころを過小評価してしまっていた。僕は勝利したチップ量よりも勝てるタイミングこそを読み取ることを人生において注力してきた。
　今回は悲願成就の予感を読み取ってはいたが、更に望むならば更に得られる、そんな欲深い嗅覚の無い鈍い僕には相応しくない……だが、今年最高のガチャであった。

　だが、忘れてはいけない。本当に今度こそ負けられない戦いは今年の夏イベントの復刻マーリンのガチャだ。