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47日目:贈与税

47日目は、贈与税について学んでいきます。


1.贈与税の基本

1️⃣贈与とは

贈与とは、自分の財産を相手に無償で提供する意思表示をして、相手が受け取ることに合意することで成立する契約のことです。贈与は口約束でも書面でも有効ですが、口約束の場合は履行が終わっていない部分はいつでも撤回できます。書面の場合は原則として撤回できません。贈与によって財産を取得した人(受贈者)には贈与税が課されます。

2️⃣贈与の形態

贈与の形態としては、以下の4つがあります。

  • 通常の贈与:贈与の都度、贈与契約を結ぶ形態です。

  • 定期贈与:毎月10万円ずつ、毎年100万円ずつなど、定期的かつ一定の継続があるタイプの贈与契約のことです。

  • 負担付贈与:家を贈与する代わりに債務も同時に負担するなど、受贈者に一定の義務を負担させる形態です。

  • 死因贈与:贈与者の死亡によって贈与の効力が発生する契約です。死因贈与により受け取った財産は贈与税ではなく相続税の課税対象となります。

3️⃣贈与税の納税義務者

贈与税の納税義務者は、贈与を受けた人(受贈者)です。贈与税は暦年課税といって、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与財産に対して課税されます。贈与税を計算した結果、納付すべき税額がある場合、受贈者は住所地を管轄する税務署に贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに申告書の提出と税額の納付をしなければなりません。

2.贈与税の計算

1️⃣本来の贈与財産

本来の贈与財産とは、贈与者が受贈者に無償で提供した財産のことです。例えば、現金や預貯金、株式や不動産などが該当します。本来の贈与財産の価額は、贈与の時点での時価とされます。本来の贈与財産の価額の合計から、基礎控除額を差し引いた金額が、課税価格となります。

2️⃣みなし贈与財産

みなし贈与財産とは、贈与者が受贈者に無償で提供した財産ではないが、贈与とみなされる財産のことです。例えば、贈与者が受贈者のために支払った保険料や学費、贈与者が受贈者に貸した金銭の利息の一部などが該当します。みなし贈与財産の価額は、贈与者が支払った金額や利息の相場との差額とされます。みなし贈与財産の価額の合計も、課税価格に加算されます。

3️⃣贈与税の基礎控除

贈与税の基礎控除とは、贈与税の課税対象から控除される金額のことです。贈与税は暦年課税といって、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与財産に対して課税されます。その際、1年間に受け取った贈与財産の合計額から110万円を控除することができます。この110万円が基礎控除額です。基礎控除額は、贈与者や受贈者の関係や年齢に関係なく、一律に適用されます。

4️⃣贈与税の税率

贈与税の税率とは、課税価格に対して適用される割合のことです。贈与税の税率は、課税価格の金額や贈与者と受贈者の関係や年齢によって異なります。具体的には、以下の2種類の税率があります。

  • 一般税率:贈与者と受贈者が直系尊属(父母や祖父母など)以外の親族(夫、夫の父や兄弟など)や他人の場合、または直系尊属から贈与を受けたが、受贈者の年齢が財産の贈与を受けた年の1月1日現在において18歳未満の子や孫の場合に適用されます。一般税率は、課税価格が200万円以下の場合は10%、300万円以下の場合は15%、400万円以下の場合は20%、600万円以下の場合は30%、1000万円以下の場合は40%、1500万円以下の場合は45%、3000万円以下の場合は50%、3000万円超の場合は55%となります。また、一般税率には、速算控除額という課税価格から差し引くことができる金額があります。速算控除額は、課税価格が200万円以下の場合は0円、300万円以下の場合は10万円、400万円以下の場合は25万円、600万円以下の場合は65万円、1000万円以下の場合は125万円、1500万円以下の場合は175万円、3000万円以下の場合は250万円、3000万円超の場合は400万円となります。

  • 特例税率:贈与者と受贈者が直系尊属であり、受贈者の年齢が財産の贈与を受けた年の1月1日現在において18歳以上の子や孫の場合に適用されます。特例税率は、課税価格が200万円以下の場合は10%、400万円以下の場合は15%、600万円以下の場合は20%、1000万円以下の場合は30%、1500万円以下の場合は40%、3000万円以下の場合は45%、4500万円以下の場合は50%、4500万円超の場合は55%となります。また、特例税率には、速算控除額という課税価格から差し引くことができる金額があります。速算控除額は、課税価格が200万円以下の場合は0円、400万円以下の場合は10万円、600万円以下の場合は30万円、1000万円以下の場合は90万円、1500万円以下の場合は190万円、3000万円以下の場合は265万円、4500万円以下の場合は415万円、4500万円超の場合は640万円となります。

3.贈与税の特例

1️⃣贈与税の配偶者控除

贈与税の配偶者控除とは、夫婦間の贈与に対して適用される控除のことです。夫婦間の贈与は、原則として贈与税がかかりますが、一定の要件を満たす場合には、非課税限度額までの金額について贈与税が控除されます。非課税限度額は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに申告書を提出することが必要です。非課税限度額は、次のとおりです。

  • 贈与を受けた年の1月1日において、贈与を受けた人が70歳以上である場合は、2000万円まで

  • 贈与を受けた年の1月1日において、贈与を受けた人が70歳未満である場合は、1000万円まで

なお、贈与を受けた人が一時居住者である場合や、贈与者が外国人贈与者または非居住贈与者である場合には、この控除の適用を受けることができません

2️⃣相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、相続人が相続財産を取得しなかった場合に、相続があった同年中に被相続人から贈与を受けた財産に対して適用される制度のことです。この制度の目的は、相続税の逃れを防ぐことです。この制度の適用を受ける場合には、贈与税ではなく相続税がかかります。相続税の計算方法は、相続税の申告書に記載する方法と、相続税の申告書に記載しない方法の2種類があります。詳細は、こちらをご覧ください。

3️⃣直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度とは、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合に適用される制度のことです。この制度の適用を受ける場合には、非課税限度額までの金額について贈与税が非課税となります。非課税限度額は、省エネ等住宅の場合には1000万円までそれ以外の住宅の場合には500万円までです。この制度の適用を受けるためには、一定の要件を満たすことが必要です。詳細は、こちらをご覧ください。

4️⃣教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置とは、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合に適用される措置のことです。この措置の適用を受ける場合には、非課税限度額までの金額について贈与税が非課税となります。非課税限度額は、受贈者の年齢や学校の種類によって異なります。この措置の適用を受けるためには、一定の要件を満たすことが必要です。詳細は、こちらをご覧ください。

5️⃣結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置とは、直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合に適用される措置のことです。この措置の適用を受ける場合には、非課税限度額までの金額について贈与税が非課税となります。非課税限度額は、結婚資金の場合には500万円まで子育て資金の場合には子ども1人あたり300万円までです。この措置の適用を受けるためには、一定の要件を満たすことが必要です。詳細は、こちらをご覧ください。

4.贈与税の申告と納付

1️⃣贈与税の申告

贈与税の申告は、**贈与を受けた人(受贈者)**が行う必要があります。申告が必要な場合は、以下のいずれかに該当する場合です。

  • 贈与を受けた年の贈与財産の合計額から110万円を控除した金額に対して納付すべき税額がある場合

  • 相続時精算課税制度を適用する場合

  • 配偶者控除の適用を受ける場合

申告の期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。申告書は、受贈者の住所地を管轄する税務署に提出します。申告書の提出方法は、以下の3つがあります。

  • e-Taxを利用して電子的に提出する方法

  • 郵便や信書便によって送付する方法

  • 税務署の時間外収受箱投函する方法

申告書の書き方や様式は、こちらを参考にしてください。

2️⃣贈与税の納付

贈与税の納付は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに行う必要があります。納付方法は、以下の5つがあります。

  • 納付書を用いて現金で納付する方法

  • ダイレクト納付によって口座振替で納付する方法

  • インターネットバンキングなどを利用して電子納付する方法

  • クレジットカードを利用してオンラインで納付する方法

  • コンビニエンスストアQRコードを使って納付する方法

納付方法の詳細は、こちらをご覧ください。

※FP3級試験練習問題

贈与税のFP3級の試験問題と回答を作成することができます。😊 以下に、いくつかの例を示します。

問1 Aさんは、2023年に父から現金500万円、母から現金300万円の贈与を受けました。この贈与について、Aさんの2023年分の贈与税額を計算してください。なお、Aさんは、2023年においてこれ以外の財産の贈与を受けておらず、相続時精算課税制度は選択していないものとします。

答1 Aさんの2023年分の贈与税額は、以下のように計算できます。

贈与財産の合計額=500万円+300万円=800万円 基礎控除額=110万円 課税価格=800万円-110万円=690万円 贈与税額=690万円×15%-10万円=93.5万円

問2 Bさんは、2023年に祖父から現金1,000万円の贈与を受けました。この贈与について、Bさんの2023年分の贈与税額を計算してください。なお、Bさんは、2023年においてこれ以外の財産の贈与を受けておらず、祖父からの贈与については、2022年から相続時精算課税制度の適用を受けているものとします。また、2022年に祖父から受けた贈与の金額は600万円であったとします。

答2 Bさんの2023年分の贈与税額は、以下のように計算できます。

相続時精算課税制度の特別控除額=2,500万円 2022年に受けた贈与の金額=600万円 2023年に受けた贈与の金額=1,000万円 課税価格=600万円+1,000万円-2,500万円=0円 贈与税額=0円

問3 Cさんは、2023年に配偶者から居住用不動産(財産評価額2,000万円)の贈与を受けました。この贈与について、Cさんの2023年分の贈与税額を計算してください。なお、Cさんは、2023年においてこの他に贈与を受けておらず、納付すべき贈与税額が最も少なくなるように計算するものとします。

答3 Cさんの2023年分の贈与税額は、以下のように計算できます。

贈与税の配偶者控除額=2,000万円 基礎控除額=110万円 課税価格=2,000万円-2,000万円-110万円=0円 贈与税額=0円

これらの内容がFP3級試験に役立つことを願っています!

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