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文春記事を読んで

 4月28日発売の週刊文春に、かつて自分が関わった人物の記事が出ると聞いて、慌てて早刷りを入手した。記事の内容については雑誌を見て欲しいのでここでは触れない。記事を読み進めていくと、あまりにやりきれない思いで胸が痛くなった。自分でもどうしてよいのかわからず、当記事を書いている。

 明日発売の記事は、僕が2017年に担当した「山尾志桜里 不倫疑惑」絡みの話である。2017年の記事は、当時民進党幹事長に就任する予定だった山尾議員が弁護士の倉持麟太郎氏と密会を繰り返していることをスクープしたものだった。民進党がこれから自民党と対峙していこうという大事な時期だっただけに、連日の密会劇を見て僕は「野党政治家は何やってんだ? あまりに下品じゃないか」と呆れた。

 当時、密会したホテルに張込み取材を続けた。不倫カップルはホテルの一室でワインを酌み交わし夜景を眺めて悦に入っていたのだろう。これから野党の力を結集していこうという、大事な時期に…。よく週刊誌記者は下世話だと言われるが、下世話な人がいるから取材をしなければならないのだ。不倫なんか取材して面白いハズもない。興味もない。しかし、誰かが「それでいいのか?」と言わなければならない時もある。そんな気持ちで取材をしていたことを思い出す。

 山尾氏は民進党崩壊の後は、立憲民主党、国民民主党と党を転々とする政治家キャリアを送っている。リベラル政治家だったはずだが、最近では人気取りにも見える保守的な発言を多くするようになり、自己顕示欲のままに政界遊泳を続けている。

 僕は不倫の全てが悪いと言うつもりはない。人間を好きになることを止められないことはあるだろう。しかしながら、そのときにどう対応をしたのかは問われるべきだろう。しかるべき謝罪をしたのか? 他人を思いやる気持ちを少しでも持てたのか? 自分の欲望の為に他人を踏みにじって平然としていることがはたして許されるのか?

 前の記事で「その人間の下半身に人格は現れる」と書いた。山尾氏が立憲民主党を離党したとき、まさに同じだと僕は思った。他人の夫を略奪して平然としているのと同じことを、政治家としても行ったからだ。自らを守り重用してくれた立憲民主党を彼女は批判しコケにした。簡単に言うと筋の通らないことをする人なのだ。

 4月28日発売の週刊文春記事は読むのも辛いものだった。Aさんには凄くお世話になった。記者として状況を好転させることが出来なかったことを無念に思う。悔しくもあり悔いてもいる。数日前に書いた「他人を不幸に陥れ平然としている政治家が国民を幸せにするような政治ができるのか?」という問いを、改めて書かなければいけないことを本当に悲しく思う。

 いまは、ただ、ただAさんのご冥福をお祈りしたいーー。


 

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