見出し画像

テレ東ドラマシナリオ【絶対的無意味な能力】

テレ東ドラマシナリオ

あらすじ

物心がついた頃から下着の声が聞こえる男子高校生の「木村」。
この突飛な現象を一種のアレルギーや持病と割り切って付き合ってきた。
ところが木村も健全な男子高校生。男性の下着であればまだいいものの、問題は女性の下着の声も聞こえてしまうわけで…。好き好んで聞いているわけではない木村を悩ます、おしゃべりな下着たちの会話。
そんなある日隣のクラスの女子「横井さん」が下着泥棒に悩んでいることを下着経由で聞いてしまう。恥ずかしがり屋の横井さんは誰にも言えずに苦しんでいた。それを察した「木村」は、初めて自分の能力が誰かの役に立つのではないかと思い、自分の能力を隠しながら、横井さんの力になろうと行動を起こし始める。そしてこれをきっかけに、木村は恨めしさでいっぱいだった自分の”能力”と初めて真正面から向き合う覚悟をもつのだった。(359文字)

ストーリー構成

【はじめに】木村の能力について(下記”頭だし”箇所に記載)
【起】友人の高津の彼女を経由し、横井さんと出会い、その悩みを察する。
【承】自分の能力がバレないよう、木村が行動を起こす。
【転】横井さんの下着泥棒を捕まえる。
【結】人に自分の能力がばれることを恐れ、自身に期待することなく見限ってきた木村が、自分の能力を真正面から向き合い、自分の未来に期待していく。(将来は下着のデザイナーとかになるのかな。)


登場人物

木村(主人公)
高校2年生。
物心ついた頃から下着の声が聞こえる”能力”があることに気が付き、幼少期より自らの人生に軽く絶望している。
この能力のことが知られたら…と思うと気が気ではない。
とにかく平穏平和な人生が歩めることを第一に望んでいる。
なお、下着の声が聞こえるといっても、それぞれ個性があり、すべての下着が話をするわけではない。
(手塩に掛けて作られた下着のほうが会話できるらしい)

高津(木村の友人)
高校2年生。木村と同じクラス。
木村の友人だと自負してるものの、あまり自らの心の内を曝さない木村に対して物足りなさを感じている。
木村はなんだかんだすごいやつで、何か秘密があるに違いないと思っているが、普段の付き合いの中ではそんなことどうでもよいとも思っている。
楽観的ないいやつ。

横井さん(隣のクラスの女子生徒)
高校2年生。木村の隣のクラス。とても大人しく、恥ずかしがり屋。
その可愛らしい外見により、周囲の女の子の僻みの対象となってしまった経験をもつ。以降なるべく目立たないように過ごす癖がついてしまった。

亜紀ちゃん(高津の彼女)
高校2年生。横井さんと同じクラス。明るい人柄で友人が多い。
実は、”名前に「木」のつく人の考えていることが読み取れる”能力を持っており、勝手に他人の心の中が読めてしまうことに罪悪感を抱えていた。
ひょんなことから木村が下着の声を聞き取れることを知り、横井さんと木村を引き合わせるように仕組んだ。

シナリオ ※【はじめに】の部分のみ※

〇回想シーン開始
・木村の声でナレーション・
「誤解しないで欲しいのだが、僕は決して変態ではない。
確かに人並みにそういうことに興味はあるし、保健体育の授業はちょっと恥ずかしい。
スマホの履歴を見れば好みのタイプは丸わかりだし、僕が留守の間、母親に勝手に部屋を掃除されるのは非常に困る。
つまり、僕は普通の男子高校生だ。

いや、普通じゃないところがひとつだけある。唯一にして、圧倒的、絶対的な僕の欠点。」

若いころの母親が洗濯物を畳んでおり、木村少年が母親の隣で車のおもちゃを動かして遊んでいる。
母親が自分のブラジャーを畳もうとしたとき、若い女性の声がする。

若い女性の声:
「あの~大変申し上げにくいのですが、そろそろ潮時かと思います…。肩のひもが、これ以上は伸びません…。」
木村少年がきょとんとした顔で母親のほうへ顔を向ける。
母親は何も話していない。
木村少年「ママ~、しおどきってなに~?」

〇回想シーン終了

・木村の声でナレーション・
「紆余曲折あってわかったことがある。まず、下着はしゃべるということだ。」

〇以下木村少年の身の回りであった”下着がしゃべる”シーンが出てくる
〇小学校のシーン
いじめっこの男の子が机の上に座り、取り巻きにブリーフなんか恰好悪い、俺はトランクス履いてるぜと話しているとき
いじめっこのパンツ「あのー!誤解しているようですがー僕はブリーフです!トランクスではありません!」

〇中学校のシーン
腰パンして、歩くちょっとヤンキーめな男の子。ズボンの上にカラフルなパンツが見える。
ヤンキーの子のパンツ「ちょっと、そろそろ新しいパンツ買いに行こうぜ~。俺、そろそろ疲れたわ~引退だわ~。」

・木村の声でナレーション・
「あと、すべてのパンツがしゃべるわけではない。無口なパンツもいればおしゃべりな奴もいる。それと、彼ら(彼女ら)は午後には口数が少なくなったり、あんまり話さなくなる。履かれたり身につけられたりしているのは、彼らにとってもだいぶ負担になっているようだ。多分、疲れているんだと思う。そして…野郎のパンツだけならいいんだ。問題は」

〇高校のシーン
楽しそうに話している女の子3人組と廊下とすれ違う。
女の子のブラジャー①「ちょっと今日(パッド)詰め過ぎじゃない?なんかいつもよりいっぱいいっぱいなんだけど。。」
女の子のブラジャー②「誰か、この子にちゃんとしたサイズのブラジャー教えてあげてよ!こっちはそんなに大きくないんだから!」
女の子のブラジャー③「ちょっとちょっとちょっと!!最近食べ過ぎよ!もうアンダーが限界なんですけどー!」

・木村の声でナレーション・
「そう。これだとまるっきり僕が変態みたいだ!僕はこの迷惑な能力と一生付き合っていかなければならないんじゃないかと思うと…(ため息)。
お先真っ暗だよ。
ちなみにだけど、声が聞こえるからと言って姿かたちが見えるわけではないからな!」
〇木村の語り終了

〇教室
木村、自分の席に座っている。元気な男の子が隣の席に座ってくる。
高津「よーっす!木村!」

・木村の声でナレーション・
「こいつは高津。僕の友人だ。もちろん僕の能力について知る由もない。ちなみに勝負パンツはディーゼルの赤。この間、高津のおしゃべりパンツが僻んでいた。ディーゼルのやつばっかりデートの時に履かれやがってって。」

高津「今日も暗ーい顔してんなアお前。元気出せよ~。」
木村「ははは。余計なお世話だ。」
高津「ていうかさー聞いてくれよー!亜紀ちゃんがさ~…(高津が一人で話し始める)」

・木村の声でナレーション・
「ちなみに亜紀ちゃんは高津の彼女。先月の体育祭の後に高津が告白して付き合った子で、確か隣のクラスだ。
ここ最近は亜紀ちゃんの惚気しか話さない。まったく、悩みのなさそうな奴は羨ましいわ。
こちとら、毎日下着たちのいらんおしゃべりを聞かされて罪悪感が積もってる。」

高津「というわけでだ。来週の土曜日、空けておいてくれよ!じゃ!」
木村「え?何の話だっけ…?」
高津「おーいー。忘れた?亜紀ちゃんの友達がお前と友達になりたいとか何とかで。亜紀ちゃんが頼まれたから、ついでに4人で遊びに行こうって話、しただろ。忘れんなよ。」

担任の先生が教室に入ってきたところで高津が自席に戻っていく。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?