日記0400あるいは不変な家
世界は四角が多い、箱と言い換えてもよいだろう。囲まれることで居場所と思い込めるのかもしれない。
「この部屋が密室なのか、鍵を締めたことで、世界を密室にしてしまったのか」
小難しいことを考えていたせいか、腹が減った。頭も妙に重い。しかし、私は密室にいるのだ。外へは出れまい。
「これ、電車っていう密室デスヨ」
「あれ、部屋じゃなかったの?」
「ええ、移動型密室です。駅に着けば降りれます」
駅に着いた。腹がかなり減った。
「立喰いそばでも……」
「ここはうどんが有名ですよ」
「あと、黒糖も」
私は何かを口にしては「ふむ」と思った。最近、食事で楽しいのは食べる直前。
「山もっさん! はよ乗らないと、遅れまっせ」
「え、あ、はい」
知らないオッサンに呼びかけられ、私は食いかけのうどんを背に走った。ポケットの中で電話が鳴るも、無視して新幹線へ。
「もしもし?」
息を整えて電話に出るも、返事はない。トンネルが続き、電波が悪いのだ。
窓に映る自分は、大きくなったり、小さくなったりを繰り返している。
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