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日記0243あるいは再会とサイン会

友人と呼んでもよいだろうと思っている相手と友人と読んでもよいだろうと思っている相手とがトークショーを開催することとなった。漫画の原案と著者の二人はどうやら二年会ってないらしく、原案と著者が会わずとも漫画は形になるのだろうか、そして、二年会わないというのは関係にどんな影響が出るのだろうか、とそんな事を考えながら会場に向かった。

結果、大方わたしの杞憂だったようだ。

帰りはカフェやらラーメンやら本屋やらに寄って、仔猫の頭を撫でそこねてから、電車に乗った。

しかし、それは私の最寄り駅へと運んでくれる電車ではなかった。慌てて降り、別の電車に乗るも急行だか快速だかで、またも違う地に運ばれた。

私は見知らぬ駅で降りてみた。足元にカッターの刃がパラパラと積もっている。

「削いでみませンか?」

異国の、やや肌の浅黒い女が話しかけてきた。
私は特段おかしいとも思わず、カッターので女の顔を削いだ。ファンデーションと薄皮、僅かな血が混じり、刃先に赤茶色の粘土のようなカスが溜まった。
 
「満足したので帰っていいですか?」

僕が尋ねると女は気まずそうに笑った。

そのあとは正しい電車に乗ることができた。友人二人は無事に各々の家に帰れただろうか?

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