日記0441あるいはクタバレゴミドモ
「な~んでそんなに怒ってるのね?」
「わかんねぇか?」
男は暗い目つきで、爪を齧っている。
「僕には怒りがよくわからないんだ。教えてくれないかな」
「クタバレ、って意味だよ」
「親が不治の病でつらそうにしてて、早く死なせてあげたいって感情も、怒り?」
「なに、トンチンカンなこと抜かしてんだ」
爪がミシリと音を立てて縦に割れる。
「自分の支配下に置けない、目障りで、気持ち悪い、すべてが腹立たしい。過去も未来もなくしてやりたい。だから、クタバレ、だ」
割合丁寧に教えてくれた。
「ずっと顔の周りを飛んでる羽虫のような?」
「近いな、そうだ」
僕はポケットからオモチャみたいに軽い拳銃を取り出す。
「そっか、クタバレ」
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