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〈母なる大地〉



17時
妻から電話があり、第三子、生後七ヶ月の息子が入院だという。
どうなるか判らないから、取り敢えず酒は呑むなと忠告される。

上二人の子たちをとりあえず実家に預け、次の連絡を待つ。こういう時に実家が近くてほんと良かったと思うし、親よマジでありがとう と感じられる。

21時50分
再び妻から連絡が来て、4日程入院で付き添わなきゃいけないから、荷物を持ってきて欲しいとの連絡があり、荷作る。目的地は、七日町。天童のジャスコまで運転するのにも苦痛なぐらい運転が嫌いな私が、夜に七日町。

24時
なんとかミッションを終え、帰宅。
真っ暗なアパート。
緊急の出来事だった故、
ベランダに干されたままの洗濯物。
台所にある洗い物。
炊飯器に残る大量のご飯。
賞味期限が明日までの鶏肉600g。
洗濯機には何日か振りに持ち帰った体育着と、裏返った靴下やその他。
汗まみれの身体。

さて、何からしよう。
まずビールだな。

ベランダの洗濯物を取り込み、畳む。
台所の洗い物を終わす。
炊飯器の保温を切り、洗濯機をお急ぎに設定し、その間にシャワーを浴びる。

鶏肉は一口サイズに切ってにんにく、生姜、酒、醤油とスパイスに小麦粉を入れて取り敢えず漬け込みパーシャルへ。
ちょうど終わった洗濯物を干す。裏返っている子どもたちの下着が厄介だ。
冷めたご飯は小分けして冷凍しておいてくれ と言われたが、ゴメン、そんな余裕なかったので布巾をかけそのまま冷蔵庫へ。

26時
全部終わって文字を打つ。
普段何気なく以上のことをやって退ける主婦という存在がどれだけ凄いことか。こんな時にしか再認識できない自分が愚かだが、これが家事のほんの一部の作業だ。仕事だ。
この行動ははっきり言って直接お金に結びつかない。生活行動の中の仕事だ。朝から晩までこれらの作業をやって退けるのは相当な仕事量だろう。

例えば男が最高なコンディションで仕事が出来るのは、こう言った行動があるからだ。お金を稼いで来れるのは、お金にならない基盤の作業をしてくれる相方がいるからだ。
「誰が稼いで来ていると思っているんだ!」と二度と言わないことだ。私がいなけりゃあなたは飯も作れず、途方に暮れるのよ、とカウンターを喰らうから。



現世に生きる男性諸君に告ぐ。
妻を大事に。
異論は認めぬ。

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