林哲司作曲のメロウで曲調が似ている極上のAOR3曲
この記事では、林哲司氏が作曲した3曲を紹介します。いずれも1980年前後のリリースで、ハイレベルなシティポップスです。林哲司節と呼べるような個性的な曲たちなので、1曲でも好きな人は全部の曲が好きになるのではないでしょうか。
郷ひろみ 入江にて
1曲目は郷ひろみの「入江にて」。1979年リリースのアルバム「スーパードライブ」のなかの一曲です。作詞は竜真知子、編曲は萩田光雄。郷ひろみというと、いかにも歌謡曲というイメージですが、この曲に関しては完璧なシティポップスになっています。
冒頭の8小節がイントロA、続く8小節がフリューゲルホルンが印象的なイントロB。そしてAメロ16小節(8小節+8小節)、Bメロ12小節(8小節(4小節+4小節)+4小節)という構成です。Aメロの9小節目からのストリングスが、センスのいいメロディーをサポートし、盛り上げます。盛り上がったまま、Bメロに突入。キャッチ―でたたみかけるようなメロディが続きます。AメロとBメロの2つのブロックで構成されている非常にシンプルな曲です。
浅野ゆう子 半分愛して
2曲目は浅野ゆう子の「半分愛して」。1980年10月にシングル盤でリリースされました。作・編曲は林哲司。作詞は康珍化。のちになって康珍化と林哲司とはゴールデンコンビといわれるようになりました。
この曲も、郷ひろみの「入江にて」と同じく、フリューゲルホルンが印象的なイントロが8小節+1小節。そしてAメロが16小節(8小節+8小節)、Bメロが12小節(8小節(4小節+4小節)+4小節)。やはりAメロ、Bメロという2つのブロックから成り立つシンプルな構成です。
アレンジは「入江にて」の萩田光雄氏を踏襲したのか、林氏のデモテープ段階で「入江にて」のアレンジの骨格がかなりできていたのかは分かりませんが、全体的な雰囲気はよく似ています。
「半分愛して」と「入江にて」は、まるで双子のような曲です。林哲司氏の個性が発揮された曲といえます。
宮本典子 シルバー・レイン
3曲目は宮本典子の「シルバー・レイン」です。1980年のサードアルバム「ラッシュ」に収録された曲です。ちなみに、宮本典子はシルバー・レインという同名異曲をリリースしています。
「シルバー・レイン」はイントロAが4小節。イントロBが9小節(4小節+4小節+1小節)。Aメロが16小節(8小節+8小節)、ブリッジにあたるBメロが8小節、いわゆるサビに当たるCメロが8小節(4小節+4小節)という構成になっています。前の2曲と構成が若干異なりますが、イントロやアレンジ、メロディラインは前2曲に近いものがあります。
以上の3曲はテンポや構成、メロディの面からも共通点の多い曲で、作曲家林哲司氏の個性が光る名曲だと思います。1980年前後のポップスシーンが懐かしく思い出されます。
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