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2022読書記録①リピート 乾くるみ

あらすじ

とある条件下、10ヶ月前の自分に“戻る“ことができる。タイムリープもの。
風間と名乗る男が電話をかけてきて未来に起きる地震の震度や震源地を的確に言い当てる。そのパフォーマンスをもとに過去に戻る時間旅行に参加しないかと勧誘された主人公は半信半疑のままその誘いに乗った。
時間旅行「リピート」に参加した人数は10人。すると次々と参加者が事故や事件で命を落としていく。
自然の力に抗った修復力かリピートのメンバーを意図的に誰かが殺害しているのかもわからない状況で主人公は生き残れるのか? 謎は解けるのか?? みたいな感じ

※以下ネタバレあり。 備忘録の感想なので、読んだことがある方にしかわからないような感じかも。









男性主人公が急に人を殺した描写がつらかった。性的な男性の感情とかが嫌にリアルで名前から女性作家さんだと思ってたけどちゃんと調べたらやっぱり男性作家さんだった。

主人公に感情移入できないのは少し苦手だなと思った。どこか淡々としていて自分を利口な上位の人間だと思っているような節を感じた。

多分何よりどんな状況においても利己的な理由を持って人を殺めるという選択をした時点でもう受け入れきれなくなったんだと思う。

リピート後好奇心から事故現場を見に行ってみたというその行為自体を、ただ見られる側に置き換えられたという因果的な辻褄だった。

彼がしたのは同じことだと思う。ゲーム感覚で助けようともしなかった風間たちとは少し違うかもしれないけれどそれでも主人公には全面的に共感はできなかった。当たり前のように怒っていたけど多分状況によっては彼も風間と同じ事をする側の人間に思える。

だからかあのラストは本当にあれ以外はないと思えるくらいに納得できた。

彼女の命とリピート権を天秤にかけさせられたところはとても心苦しくて、主人公の葛藤は本物で後悔も本当の気持ちだったと思うからそこはちょっと絆されそうになったけど、自業自得だ。

夢で人を殺したことがある。とんでもない悔悟の念に囚われてどうにかなってしまいそうだった。どうして私はその選択をしてしまったのか、頭が働かなかった。実際人が人を殺してしまうのってそんな状況なのかも知れない。

だから少しだけ、私もリピートしたらその殺人が無かったことになるって言われれば絶対迷うと思うし、彼女はここで死んでもリピート後は元通りになるからって合理的に考えて同じ答えを出すかもしれない。人のことは言えないし、同じ事をしてしまうかもしれないけれど、だからって許されることや甘く見てもらえることじゃないと思う。私は同じ事をしたら同じように私を嫌いになるし許せない。今後将来、同じ状況にならないことを願う。



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