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読書記録:みをつくし料理帖-想い雲-

※ネタバレあり感想



あっという間に読んでしまった…。面白すぎて…このまま行ったらもう読み終わってしまう…!と思うと淋しすぎて一晩寝かせたりした。

映画だと最後まで駆け抜けるしかないけど、小説のテンポは最終私が握ってるようなものなので、途中でぶったぎって、今の思いを胸で温める時間を取れるのがいい。

みをつくし料理帖は登場人物のあたたかい心情をしみじみと感じながら読みたい作品なので、何度か本を閉じて澪ちゃんの胸中に思いを馳せる時間を設けた。

心から愛する、母のように慕う人から「生きるてしんどいもんやなぁ」と言われるつらさ。
ただそう漏らしてもらえるだけ支えに思われているだろう存在でもあるのかなとも思う。
澪ちゃんは、哀しみをじっと耐えられるだけ強くなったんだなぁとその変化や成長を前作同様感じるけれど、不思議と嬉しいとは思えず胸が詰まる。

物語には、主人公には、そして占い師にもそう予言されたように澪ちゃんには苦難が付き纏う。そうでなければきっと話は進まないのだけど、それでもただ幸せに穏やかに過ごしてほしいと願ってしまう。それがどれだけつまらない物語になったとしても、それだけ私にとってみをつくし料理帖に出てくる人達はもう内側の人で、みんなの痛み苦しみがつらく重たい。

う、鰻を届けてくれる実家太い源斉先生…!
お互い恋心はないだろうけど、とても親しい気持ちを持ってるのはわかって…なんだか切ないな…まだラストわからないなこれは…!!

土左衛門が上がった時のご寮さんへの皮肉にしろ、翁屋での澪ちゃんへの侮辱にしろ、今回は江戸の町での当たり前のような言葉がいやにきつく耳に残る。
富三との最後も、周りに温かい人たちが増えて助けてくれる人もいるのに、やっぱり世間は全部が優しくなんてない。

それでも、どんな時であっても、澪ちゃんは食べてくれる人を想って料理に心を尽くす。
不安になりながら、悩みながらも絶対に前を向き、これまで支えとなってくれた人たち、ご飯を食べてもらいたい人たちを想って、真心を込める。
その結果、誤解をあらぬ濡れ衣なんだろうと、澪ちゃんの料理の丁寧さ、気配りを理解してわかってくれる人が現れた。嬉しさと切なさとがないまぜになって、ゆるゆると涙しながら澪ちゃんを見守る。

コマツナギ、画像検索したらピンクの愛らしい花とまあるく角のない葉っぱで、確かに澪ちゃんみたいだ、と笑ってしまった。
花の中央には小さな実?のようなものが天に向かって伸びていて、その姿の健気さが澪ちゃんと重なる。

ラストまでわからんと言ったけれど、これは…これは小松原様ルートしかないではないか…!!!いいぞ!もっとやれ!!

辛抱と精進…。生涯の宝となるそれを身につけさせるのも大人の務め…。
まだ今でいう義務教育期間に唯一の家族と引き離され、奉公にでなきゃなんて現代に生きる私の価値観では受け入れるのが難しく感じる。
種市さんの気持ちが救いでもあるし、それでも駄々をこねれば誰かが助けてくれると学ばせてしまうのもよくないというのもわかる…。わかるけども…。江戸の世でなければ、なんてことも考えてしまう。この時代だからこその魅力もあるのに…。
飲み込むには少し難儀するけど、読み味の爽やかさや温かみはいつも変わらないのが有り難い。

野江ちゃんとのこれから、澪ちゃんの恋の行方、時を経るにつれてきっとまた艱難辛苦が待ち受けているだろうけど、きっと最後まで諦めたりしないと信じられる。絶対に最後は青空が待ってる!
だから、また次の本を開いて精一杯澪ちゃんを応援しよう!

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