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士業の集客について(概論)

はじめに

士業として、独立開業すれば、多くの方が集客の壁にぶち当たります。
中には、生来の才能で集客が得意であったり、あるいは恵まれた環境にいて特に集客を意識しなくても良いという方もいるかもしれませんが、そのような方は少数派だと思います。
そういった方にとっては、この記事は不要です。
また、既に現在十分集客ができている、集客に成功しているという方にとっても、この記事は不要です。
独立開業したばかりで集客ができていない、あるいは既に独立開業してから何年も経過しているがずっと集客で苦しんでいるという方のお役に立つための記事だと考えてください。

私自身が独立開業後に、集客でずっと苦労してきましたので、その中で考えてきたこと、やってきたことが少しでも役立つようにと、できる限り再現性のある内容にするよう、また具体的な内容にするよう工夫をしていきたいと思います。

集客の必要性

当たり前のことですが、士業として独立開業しても、顧客が一人も来てくれなければ、事業として継続していくことはできません。
そして、顧客に来てもらうためには集客が必要だと考えるのが、これまた当たり前のことなのですが、士業としての独立開業は資格の取得を前提とするため、資格さえ取得すれば何もしなくてもある程度は顧客が来るのではないかといった甘い幻想を持ってしまう方が一定数おられます。
また、士業は専門職なので、専門家としての能力が高く、質の高いサービスが提供できさえすれば、自ずと顧客が集まるのではないかという幻想を抱いている方も一定数おられます。
しかしながら、そういった幻想は本当に幻想に過ぎません。

顧客を獲得するためには、集客のための行動が必要です。

飲食店に例えてみれば、分かり易いのではないかと思います。
本場イタリアで修行をした腕の良いシェフが、本当に美味しいイタリア料理をリーズナブルな価格で提供しているイタリアンのお店があったとしましょう。しかし、あなたがそのお店のことを何かのきっかけで知ることがなければ、あなたがそのお店に行って飲食をすることは一生ないでしょう。
たまたま、その店の前を通りがかって入店するということはあるかもしれません。しかし、それだって、そのお店が看板を出すなりしていて、イタリアンのお店であること、少なくとも飲食店であるということと、今営業中であるということが分からなければ、あなたが入店することはないでしょう。
そして、この看板を出すというのも、集客のための行動にほかなりません。
このように、顧客に来てもらうためには、集客は必要不可欠なものです。

しかも、士業は、自分たちが考えている以上に、世間での認知度はそれほど高くはありません。どういう資格があって、どういう資格の人が何をすることができるか、同じ士業であっても全ての士業について正確に分かっている人はどれくらいいるでしょうか。
さらに、士業が提供するのは、物品などではなく、無形のサービスなため、一層世間の認知度は低くなってしまいます。
なので、独立開業しただけで何もしなければ、顧客は来ないというのが当たり前の姿なのです。


集客の第一歩

では、顧客に来てもらうためには、集客のためには、何をすれば良いのでしょうか。

現在、集客手段や集客のための情報はネットでググればいくらでも出てきます。なので、それらの集客手段を手当たり次第に試してみるというのも一つの方法です。
しかし、誰しも、お金、時間、労力の全てについて限りがありますので、その方法はお薦めできないし、現実に実行するのも困難です。

そこで、まずは、「考える」ということから始めることになります。
「考える」目的は、限られたお金、時間、労力の範囲内で、集客のために何をやるのかという手段の選択と、何から順にやっていくのかという優先順位を決めるためです。

この点をあなたに代わってやってあげますとか、この点についての有用なアドバイスをしてあげますというのが、士業の集客コンサルタントを名乗っている方々が提供しているサービスです。お金と時間に余裕があるのであれば、こういったものを利用してみることも否定するつもりはありません。
しかし、あなたが有能なコンサルタントを見つけ、あなたのニーズに合い、かつ費用的にも見合った有益なサービスを受けられる確率はそれほど高くはないと考えた方が良いと思います。
コンサルタントの能力は、それこそピンキリなうえ、有能だからといって必ずしもあなたにとって有益なサービスを提供してくれるとは限らないからです。これは、コンサルタント一般に言えることであって、特に士業の集客コンサルタントに限った話しではありません。
仮に、コンサルタントを利用されるのであれば、十分にリサーチはされるべきです。でなければ、お金と時間を無駄に使うことになりかねません。このリサーチのために時間と労力を使うぐらいならば、それを自らで「考える」ことに使った方が良いのではないかというのが私の考えです。

集客手段の選択

まずは、集客のための方法として、どのような方法があるのかを全て書き出してみましょう。
ここではネットの情報やビジネス書を利用されると良いと思います。

「集客方法」でググるだけでも、必要な情報は入手できます。
その中から、士業が使えそうなものを書き出すと、おおよそ次のようなものが挙げられるのではないかと思います。

ホームページ(メイン・サービス別)作成
・ブログ
・メルマガ
・各種団体への専門家登録
・外部委員等への就任
・書籍の商業出版、雑誌等への執筆
・勉強会等の主催
・セミナーの自主開催、セミナー講師
・SNS
・YouTube
・オンラインサロン
・音声コンテンツの配信
・個別営業
・チラシ、ダイレクトメール

思いつくものを全て書き出すことができたら、次は、選択です。
ここで考えるべきことは、集客の前提として、自らが提供したいサービスその対象となる顧客の属性についてです。これは複数であってもかまいません。
例えば、弁護士が離婚の案件を取りたいのであれば、その対象はこれから離婚をしようと考えているか、既に離婚で揉めている自然人になります。

このように対象となる顧客の属性が決まれば、その対象に対して効果的な集客手段を選ぶことになります。
上記の例でいくと、「これから離婚をしようと考えているか、既に離婚で揉めている自然人」に対して短期的に効果がありそうな手段としては、離婚に特化したホームページ作成、セミナー開催、YouTube動画の配信、音声コンテンツの配信、チラシの配布などが考えられます。

そして、さらに自分のお金、時間、労力や費用対効果を考慮して、この中からいくつか実際に試してみる集客手段を絞り込んで優先順位をつけます。
上記の例でいくと、開業して間がなく、お金はないが時間と労力はかけられるという場合であれば、自前で離婚用のホームページを作成し、YouTube動画や音声コンテンツの無料配信によって、このホームページに誘引して集客するという絞り込みが考えられ、ホームページ作成→YouTube動画ないしは音声コンテンツ配信という優先順位も決まります。

なお、集客手段としては、長期的な効果を見込んでの紹介によるという方法も考えられますが、通常は紹介者との人間関係の構築が必要であるため、実際に集客の効果がでるまでに時間を要し、しかもこれを主たる手段とする場合には、さらに紹介者をある程度の人数確保する必要があるなど、別途考慮すべき点が多いことから、また別の機会に述べることにします。

集客手段の実行

集客手段の選択と優先順位が決まれば、あとは実行するだけです。
こう言うと簡単そうに聞こえますが、実際に実行できる人は多くはありません。
当然、実行したからといって必ず上手くいくとは限りません。というよりも、一回で上手くいく方がまれです。
実際にやってみれば分かりますが、そう簡単に集客は成功しません。
しかし、上手くいかどうかは、実際にやってみなければ分かりません。
上手くいかなかった場合には、その原因を考え、改善によって上手くいく見込みがあるのであれば、再チャレンジするのみです。

ちなみに、士業の集客コンサルタントに依頼をした場合、この実行に関しては、別途それなりの費用を請求されることになります。ホームページ作成、動画や音声コンテンツ作成などはその典型例です。
これらに関しては、自ら実行せずに外注する場合であっても、コンサルタントに丸投げするのではなく、自分で専門の業者を探して、きちんと要望やコンセプトを伝えるなどの手間暇ぐらいは掛けるべきです。それぐらいしなければ、使いものになる成果物は手には入りません。そして、その方が通常は費用も安くて済みます。さらに費用を安くしたければ、クラウドソーシングを利用するのも一つの方法です。

士業が使えそうな集客手段として前記で挙げたもののうち、外部委員等への就任や書籍の商業出版、雑誌等への執筆を除けば、あとは誰にでも簡単にできるものばかりです。また、時間と労力さえかければ、チラシやダイレクトメール以外は費用をほとんどかけずにやることができます。
にもかかわらず、多くの方は誰にでも簡単にでき、費用をほとんどかけずにやれることであったとしても、それらをやっていないか、やっていてたとしても明確に集客の手段と意識してやっているわけではありません。
そういったところが、集客ができている人とできていない人の決定的な違いの一つです。

集客については、既に成功している方々も、必ず過去にトライアンドエラーを繰り返してきています。のみならず、現在でもずっとトライアンドエラーを繰り返しています。集客については、いったん上手くいっても、同じ手段が通用し続けるとは限らないからです。

なお、実行をしたならば、上手くいこうといくまいと、必ずその結果を記録し、数値化できるものは数値化すべきです。
ここも、ほとんどの方がやりっ放しのため、あとで検証をすることができず、非常にもったいないと思います。
お金にしろ、時間にしろ、労力にしろ、有限なものを使ったのですから、これを無駄にしないためには、記録、数値化は必要です。

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