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コルカタ①

ヴァラナシから15時間電車に揺られ、インド最後の街についた。かつてはカルカッタと呼ばれ、1911年まで英領インド帝国の首都だったこの街は、最もインドらしい街だと言われる。だが僕にそれを眺めることを許されているのはたった1日なのだ。

コルカタに到着したのは22時を回った頃。とりあえず予約した宿に向かわなければいけない。リキシャーを探していると、見覚えのある人影を目にした。ヴァラナシの宿で同室だったイギリス人2人もこの街に来ていたのだ。2人の宿に向かう途中に僕の宿はあったので、途中まで乗せていってもらう事にした。

とりあえずチェックインを済ませると、急に腹が減ってきた。そういえば今日はクッキーくらいしか口にしていない……  宿の隣の食堂がまだやっていたのを思い出し、そこで食事をとる。辛くないおかずとチャパティを4枚くれ、と言うと店主は一つ頷き、黙々と料理を作り続ける。出されたものはよく分からない料理だったが、美味かった。

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食べ終わり宿に戻ろうとすると、店の前に屯していた人達に呼び止められる。店の前のベンチに座り、少し話した。どこから来た、日本はいいところか、明日はどうする、ホーリーは見るのかと質問攻めにされた。明日には日本に帰るのだ、残念だがホーリーには参加出来ないと答えると残念そうな顔をしてまた来いよと言ってくれた。僕も色々質問をした。最後に写真を撮ってくれと言われ、写真を撮る。インドの人達は写真好きで、街を歩いてると一緒に写真を撮らないか、写真を撮ってくれと言われることも多い。僕が写真を撮ってもそれを渡すことはできないのだが、撮られるだけで満足するらしい。写真を撮って彼らに見せたあと、宿に戻る。

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ベッドに寝転びながら先程の会話を思い出す。彼らはあまり英語が喋れなかった。もちろん僕もヒンドゥー語、ベンガル語は話せない。一体どうやって会話していたのか。単語を並べて、身振り手振りで互いに必死で伝えあっていたんだと思う。バックパッカーのバイブル、深夜特急にも同じようなエピソードがあった。英語で話していても感じるが、言葉がわからないという前提でのコミュニケーションは使い慣れた言葉でのコミュニケーションより言いたいことが伝わる気がする。もちろん複雑な事は伝えられないけれど、通りすがりの人と会話するくらいならそれで十分なのだ。

翌朝、明るくなってから見た街からは今までのインドとは全く違った印象を受けた。広い道の両脇に背の高い古ぼけた洋風建築が立ち並び、ここがイギリスのインド支配の本拠地だった事が感じられる。昨夜の雨で冠水した道路を黄色いタクシーと乗客をすし詰めに乗せたバスが走る。バスの乗降口では車掌が釣銭用の札束を握りしめながら道ゆく人に行き先をがなっている。足を泥で汚しながら、僕は初めて海外に来た時のような高揚感を覚えていた。

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(均整が取れた街並み  路面電車も走る)

地下鉄でコルカタのバックパッカー街であるサダルストリートに向かう。コルカタはインドで初めて地下鉄が開通した街という事で、近くまで地下鉄に乗る。チケットカウンターでは切符代わりのトークンが手渡された。日本のような切符を海外で見たことがまだない。駅を出て歩くと、すぐに日本語で話しかけられるが、適当にかわして逃げる。そういえばしばらくネパール人に間違えられていない。西よりも日本人が多く来るのだろうか、東に向かうほど日本人かと言われることが増えてきた気がする。10分程でサダルストリートに着いた。

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(コルカタは通りに看板が出ているのが嬉しい)

とりあえずチャイを飲む。チャイについてはこれまでも何度か触れてきたが、 しっかり書いた事はない気がする。チャイは茶の事だ。何種類かあるが、一番多いのはミルクチャイ。砂糖をたっぷり入れたミルクティーにマサラ、つまりスパイスを入れて飲むのがインド流だ。チャイスタンドと呼ばれる露店は街の至る所にあり、3分歩けば必ずチャイスタンドが見つかる。茶葉が名産のインドだけに、1杯5〜10ルピーで何処のチャイスタンドでも美味しいチャイが飲める。基本的には小さな紙コップで提供されるが、中には素焼きの器で提供してくれる店もある。今記事のタイトル写真の店はそのタイプだった。洗ってまた使えそうなものだが、この器は飲み終わったら地面にポイして二度と使わない。チャイスタンドはチャイだけではなく、情報も手に入る。ここに行きたいんだがリキシャーだといくらかかるだとか、このゲストハウスの場所を知らないかだとか、とりあえず困ったらチャイスタンドで休憩しながら情報を集めた。僕はチャイにすっかりハマってしまい、多い日では5回もチャイを飲んでいた。皆さんもインドでは是非チャイを。

チャイを飲み終わり席を立つ。今日のミッションはお土産を買う事。目指すはアジア最大級の市場、ニューマーケット。

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