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宵の酔い

 寝ようと思いつつお酒を飲み始めてしまったので、その勢いで記事を書くことにする。

 私はいつも、どこかに私という殻を破ってくれる人が現れるのではないかと期待している。
 友人が言っていた。「あなたは、芳しい香りを漂わせながら固い殻を被る稀有な花だ」と。
 一方で、「自己開示が早い」と言う人もいた。
 私は、どっちにいるんだろう。
 殻を被ってるのか、開いてるのか。
 開いてるように見せかけて、まだ殻を被ってるのか。
 自分のことは存外わからんものだな。

 過去の恋愛の失敗を、次に繰り返さないようにしなければならないと思いつつ、どうにも違和感が拭えない。
 私は相も変わらず、恋だの愛だのを表現する言葉に苦手意識がある。
 恋人とか、彼氏彼女とか、愛してるとか。そういうの。

 一度目の失敗は、やっぱりよくわからない。
 私が悪かったのだと思えば、きっとたぶんそうなのだろう。
 なぜあの人は目が眩んで、私の本質を信じてくれなかったのだろう。
 私がどこかにふらふらといなくなると感じて、極度に不安になって、私を閉じ込めてしまった。
 私の反省点とすれば、そうだなぁ。
 会話はしたし、話し合いもたくさんした。でも信じてもらえなかったのだ。
 私の態度のいくらかが悪かったのだろう。優しくなかったのだ。そうに違いない。

 二度目の失敗は、完全に私が悪い。
 そもそも気のない相手に手を出したのが悪かった。その気にさせて、離れた途端に蔑ろにしたのは私だ。
 私の反省点は、「ネタになりそうだ、面白そうだ」と深く考えずに手を出したこと。
 私のような醜悪な見た目でも、人によっては転がされてしまうのだと言うのは気づきだった。申し訳ないと思ってる。

 三度目の失敗は、どうすれば良かったのだろう。
 結婚だって視野に入れていた。
 けれど、相手の不安や悲しみをことあるごとに感じた。それがなんだか空気を悪くするようで嫌だった。ちくちくと、責められている気がした。
 では、私が両手を広げて「さあ、好きにしなさい」と言えばよかったのだろうか。
 「愛して欲しい」「優しくして欲しい」だなんて、ずいぶんと都合のいい甘え方だなと辟易する。
 何をすれば良かったのか、私には正解が分からない。
 どうせ私が悪いのだ。

 過去の失敗から何を学んだだろう。
 思うに、「恋愛とはかくも面倒くさいものだな」と。
 今まで一人で生きていけた人たちが、途端に支えてくれる人が現れたと言って身を預けてくるなんてご都合主義もいいところだ。
 別に恋人じゃなくてもいい。
 一生涯の友人でもいいわけだが、異性ということもありそれはどだい無理な話なんだろうか。
 ああ、わからない。
 私が自分勝手なことしかわからない。

 私が期待するのは、目の前に火花が散るような日々だ。
 常に新鮮で。
 常に刺激的で。
 常に私発信で追いかけてゆける、心が躍るような何かだ。
 私のことなんて見向きもしなくて構わない。
 ひどく興味深ければそれでいい。
 眺めていたい。
 知りたい。
 けれど何を知ればいいのかわからない。
 正直、わからないことばかりで、何がわからないのかわからない。
 そんな中で、引っ張っていってくれる人が現れることを期待している。

 その人が「共に下に堕ちよう」なんていったら、私はついていってしまうのだろうか。

 おわり。

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