見出し画像

萎れる花に

先週土曜日にガーベラとカーネーションを買ったのだけど
いつも通りにごく普通に水揚げをして
洗った花瓶に無造作にポンと生けた

商店街のこの花屋さんは花のもちが良くて
一週間ってことはない
二週間は目を楽しませてくれる

のだけど

何故か今週に限っては
帰宅すると黄色いガーベラから重そうに頭を垂れて 
おいおいお前は稲穂かとツッコむけど
おかしいなあ黄色い花は特に持ちがいいはずなのになあと
もう一度チョキチョキ茎を切っては水揚げを試みる

一晩大きなバケツで過ごしたガーベラは
首の強度を取り戻して
バリカタにまっすぐなフォルムを見せるけれど

今度はピンクのガーベラがうなだれている

あれえなんでかな昨日までは元気だったのにと
やはり首のあたりが細くなってクタクタに折れている

ガーベラでこんなにお世話焼いたことないんだけどなと
訝りながら再び茎を切って水揚げするけれど

カーネーションもなんだか元気がない

これはおかしい
正月用にと買ったカーネーションは二週間以上もったし
カーネーションはそもそも強い花だ
タラリンと雪柳みたいにシナっているのはおかしい

モヤモヤしながら
もともと植物のお世話は得意でないんだよなと
ついに切り花もアウトかと
水をやればやりすぎで
サボテンを枯らす女の異名をとったけど涙

今日、ハッとした

そうだ家の中の邪気を植物が吸っているんだと気づいて
膝を打ってしまった
というのも長女と日曜日から絶賛ケンカ中で
ほとんど口をきいていない

うなだれたガーベラは
うなだれた長女の姿
強がっているけど
花瓶は彼女の座るテーブルの目の前に鎮座していて
花たちは光合成
彼女の吐く息に含まれる不安を吸って浄化して
黙って応援 エールを送っていたんじゃないか

尋常じゃない量で吐き出される不安の吐息に
花たちも必死で不眠不休でダンダン太鼓叩いて酸素を供給して鼓舞
あっという間に萎れたのは
彼女が植物の熱量を求めて、そして花たちが応えたから

信頼する女医さんが、具合の良くない患者さんが続くと
観葉植物が急に痛んだりするのよねって
病気の人が来るところだから仕方ないのだけれど
植物には過酷な環境なのかもしれないわねって
話してくれたのを思い出して

戦う娘を身を挺して植物が見守っていてくれたんじゃないかと
この一週間の何故か花が萎れる理由が腑に落ちて

別にそれが正解かどうかじゃなくて

残念ながら親が代わってやれることというのは
実際の場面ではもうなくて
ただヤキモキするだけで
戦うのは本人
ウザがられても三三七拍子で応援するくらいしかできないから

明日も花を買って
彼女の前に生けようと思う






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?