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自己紹介って

ー〇〇福祉会✖✖の赤毛です。

若かりし日、職場の先輩に誘われて、高円寺稲生座で国分寺エクスペリエンスのライブをみて、あるぽらんで飲んでた時だと思う。

先輩の友達5人位が集まっているところに合流した。初めてお会いする方ばかりだったので、所属からお名刺交換的にご挨拶した、つもりだった。

ーダッセェー

先輩の一言。

え?今なんて言ったの?耳を疑うとはこのことか。二度見ならぬ、できるなら二度聞きしたい。いや、したくないかな。なんで?バカにされた?ことへの軽い怒りと、恥ずかしくて、顔が耳まで熱くなる。

ー赤毛ちゃん、ここは仕事場じゃないんだよ。みんな好きで集まって、好きで飲んでるんだよ。だから仕事場の関係性や立場をお名刺代わりに語るのは、ダサいんだよ!赤毛ちゃんは、赤毛ちゃん。ただの、赤毛ちゃんでいいんだよ!

先輩はもう職場の先輩ではなかった。just me !とオノヨーコさんが言っていたようないなかったような。朝まで飲む気満々、語る気満々の、一人の和田久美子さんだった。

その時集まっていたのは、色白で整った目鼻立ちからロシア人を彷彿且つ名前絵里=エリチン(当時ロシア大統領)と呼ばれるBL漫画家さん、白塗り舞踏のダンサー悟道くん、ロシア文学翻訳家のヨッシー、アクティビストで占い師で銭湯研究家(戦闘と銭湯の掛詞)の和田先輩のお兄さん、和田先輩の通う保育専門学校通信課程でナンパされた渡辺くんの謎の多国籍軍で、確かに職場の肩書なんて何の意味もなさいメンツだった笑

自分を語るものは、年収でも、通帳の残高でも、乗ってる車でも、卒業した大学名でも、勤務する会社でも、役職でも、住んでる街でも(港区女子!ケッ!) そんな人から借りたもんじゃねえ!というのが、先輩の言いたかったことなんだと思った。

お名刺代わりに踊りだす悟道君の前で、ジーマーチなもんで(肩書き好き苦笑)打たれ弱くてカウンター食らって涙目になりながら、気を取り直して自己紹介した。なんだかその日はメッチャクチャ飲んで酔っ払って、最後には和田先輩も「革命は起きないんだよ~~~!!!」と叫んで肩を震わせて泣いていたのを覚えている。当然終電は逃してしまって、高円寺の狭く曲がりくねった路地を酔っぱらいながらも不安な気持ちで歩いて、エリチンのアパートに四人か五人で転がり込んで、奴隷船みたいに頭と足を交互に重ねて短く始発までの睡眠をとったことを思い出す。

直行直帰?いや直帰直行?笑ふたりは仲良く職場に向かい、同僚には、おはようございます。なんてしれっと、ビジネス?な挨拶交わして一日仕事したのが、その日はなんだか可笑しくて、思い出し笑いばかりしていた。あの頃よりも私は私を等身大に語れるようになっただろうかと思う夜に。




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