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初対面

ー何だか今日は続けて初めての人に会うので疲れちゃいました。午後からも気が重いなあ。早く来なくていいのに⤵

予定時刻より早めの到着を告げるインターフォンに、同僚がゲンナリと肩を落とす。

(え?嫌だと思うほど疲労困憊するんだ?初対面って。)

ー大丈夫ですか?私が交代してもよいです。が、普段の取り組みを支援している田中さんか一緒の方が、みなさんもリラックスして安心して参加できると思いますけど。

ーはい。僕もそう思うんですけど、区の担当者二名、美術館関係者が三名、絵の講師が一名。なんてお客さんに対応しながら、みなさんにも絵を描いてもらうのは、僕にはちょっと気が重いんです。

初対面って苦手なんです。構えちゃうし、何を話したらいいか分からないし。

ー行政は見学だから、いいです。対応しなくて笑。美術館関係者は、最初に私が挨拶して、大体のコミュニケーションは取っておきますから、田中さんは、利用者さんに集中してそこにいてください。

ーはい。わかりました。やってみます。少し気が楽になりました笑

ー下のフロアにいるから、何かあれば内線してください

ふうん。私は初対面くらいワクワクするシチュエーションはないと思うけどな。自己紹介でダセえとカウンター食らった日から幾星霜、大分面の皮が厚くなった笑


まだ見ぬ世界の扉を開けてくれるのは、一冊の本だったり、一枚の絵画、一本の映画、一回のライブかもしれないけれど

一人の人間との出会いくらい強烈なカウンターとフックと、アッパーと、ボディを咬ますことはないだろう。

人はそれだけ多面体だし、記憶と体験の分だけ深度もあるし、何よりナマモノ、体温がある。

つまり、かつ消えかつ結びて久しく留まりたる試しなし。あ、つまりのクセにまとめてないな笑

えーと、つまり、人は常に変わりゆくもので、昨日の自分と今日の自分は細胞分裂した分だけ、または1日分死に近づいて、変化している存在同士が関わることには一回性が強く、そのとき限りのセッションを重ねてるってこと

だからドキドキしてワクワクする

何かが始まるかも知れない

始まらなくても良いし

始まってるのがわからないこともあるし

指揮者が棒を振り上げる瞬間の吸い上げる鼻息みたいな

でも、それができるのは沢山向こう臑に傷があるからだし、人にも傷をつけた。畢竟、感情の総量が多いんだと思う。無防備にダダ漏れしてるから、栓を閉めろ!水はタダじゃねえぞと口の悪い周ちゃんによく叱られるけれど

ご縁があるから関わりを持ったんだとおもうし(それがビジネスであっても)興味関心のベクトルが近くて心地よさを感じたら、お話しして深めたいし、作家さんなら次の展示にはお邪魔すると思う。

それが継続して点が線になるかは、線が面になり、面が重なり層になるかは…一期一会、初回面談でわかるわけはないし、互いの感性に聞かないとわからないし、メンテナンスと厭わぬ繕う努力が必要。(人間関係だって時間の経過とともに必ず劣化する。ほおっておけば。だから水やりやメンテが必要。離婚したお前が言うか?笑)

支援を終えどっぷり人疲れしている同僚と、振り返りをしながら、今日の佳き出会いに感謝する



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